きこりの森林・林業の教科書


③生活を守る森林って何?

概要 森林の機能 保安林制度 治山 生活を守る樹木 流木対策
保安林の種類
補助金申請
導入の必要性
治山技術
肥料木
根系別
耐潮性
耐風性
耐火性
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海外の治山
1.ヨーロッパ
 ヨーロッパは、他の大陸と比べると、一般に自然条件に恵まれており、土地管理も良好であるため、侵蝕量は、世界中で最も少ない地域になっている。
 温暖温帯地帯では機械的侵蝕量は、20ton/km2年といわれているが、アルプスやアルペン山脈では、250ton/km2年程度、もしくはそれ以上になる。
 このため、オーストリアでは、国土の主要部分がアルプス山地であるため、治山は古くから行われていた。13世紀には、トロル伯マインハルト二世(在位:1258年~1295年)とトリエントのハインリヒ司教との争い(1277年)で、ボルツァーノ(Bolzano)のタルファ河の防護壁を破壊した報告があります。その後、1340年に防護壁の再建がハプスブルグ家の元行われたとのこと。
 19世紀末には、砂防に関する学問・技術的な体系が確立され、周辺国に影響を与えました。その成果をアメリゴ・ホフマンが、1904年に来日し、日本の禿げ山緑化に対し渓流砂防の必要性を伝えました。pont-alto-sperre

(a)アイスランド
 火山国であるアイスランドは、玄武岩とパラゴナイトで構成されている。このため、噴火による融雪洪水が発生する。また、870年頃から入植し、羊の過放牧が行われてきた結果、植生の大部分が消失し、不毛な地が多くある状態となっている。

(b)北西ヨーロッパ海岸地域(ノルウェー、スコットランド高地)
 古い花崗岩、変成岩を基盤岩としており、スカンジナビア半島では、岩屑土、スコットランドでは有機質土で構成されている。一般的に耐食性が高い。後氷河期の海生堆積物の起こすマスムーブメント、雪崩、風食(スコットランド高地の泥炭地)が特徴。

(c)北ヨーロッパ(スカンジナビア山脈からウラル山脈)
 第4期における氷河作用の影響で平野や丘陵地が多いのが特徴。地表荒廃現象としては、融雪期のマスムーブメントがある。ソリフラクション(solifluction)のよる小規模泥流、急傾斜地における地すべり、融雪出水による流路の破壊が特徴

(d)ツンドラ地帯
 周氷河環境であるため、植皮を保続することが土地保全対策となる。植皮が失われると、ジェリフラクション(gelifluction)が起こり、深刻な事態になる。

(e)海岸地帯(ポルトガル中部からアイルランド、イングランド)
 気候は概ね温和であるが、強風のため土壌の風食、乾燥を起こすところがある。

(f)中間地帯(フランスから東ロシアの森林地帯)
 一般的に、地表には良好な植皮が期待できるため、大きな問題は発生しない。しかし、保全的配慮に欠いた農耕を行うと、侵蝕が発生する。

(g)内陸乾燥地帯(パンノニア盆地、ルーマニア平原、南ウクライナ、ロシア平原南東部)
 冬の低温が苛酷で、土壌の凍結深が1mに達する場合がある。このため、年降水量は500ミリ以下であるが、融雪期に大雨が降ると、ガリーが発生する。

(h)山岳地帯(ピレネー、アルプス、カルパティア)
 森林植生の消失、耐食性の低い泥灰土やフリッシュ(中生代白亜紀後期から新生代古第三紀漸新世にかけての厚い海成層)が降雨にあうと、大規模な侵蝕が発生する。

(i)地中海・半乾燥地帯(アナトリア高原)
 年降水量が500ミリ以下(場所によっては250ミリ以下)で植物が乾性型で構成されており、植生破壊が起こりやすい。長年にわたる羊の過放牧のため、Badlands(バッドランズ)と呼ばれる乾燥と豪雨の繰り返しで極度に侵蝕された荒地がある。

(j)地中海・湿潤山岳地帯(西ギリシャの山脈、トルコのトロス山脈、北部及び中部のポルトガルの山脈)
 年降水量は1,000ミリを超える。このため落葉広葉樹林帯で会ったが、過放牧及び木炭生産の結果、殆ど破壊されている。透水性の良い土壌と粘土層、泥灰質の地層が互層になっているところでは、マスムーブメントが発生する。

(k)地中海・中間地域
 夏の乾燥が植物の発達の阻害要因になっている。土湿の高い場所では植生の発達が良いが、表面流出、マスムーブメントが発生する。なお、斜面の方位が重要な因子で、北向き斜面は、南向き斜面よりガリーの発生が抑制されている。しかし、マスムーブメントは北向き斜面が起こりやすい。

2.アジア
 アジアは、インドネシアを代表とする火山地帯、ネパールの標高8000mの山々からの激しい河川侵蝕による土砂崩壊や、人間の活動による森林破壊の進行で、ネパール国内だけでなく国際的な問題を抱えている。中国では黄河をはじめ、土壌侵蝕、堆砂、河床上昇、黄砂問題を抱えている。

3.南北アメリカ
(a)北アメリカ
 アメリカの地形は、南北方向に3つに分けられます。東海岸のアパラチア山脈を含む400から700キロの幅の前方地域、1500キロの中央大平原、ロッキー山脈、シェラネバダ山脈の西部山脈です。アパラチア山脈は、幅100キロにわたる断層による起伏のある高原を持っており、大西洋に流れ込む河川は、滝や急勾配の区間が分布しています。このため、土石流災害が多いのが特徴となっています。
 大平原のうち、ミシシッピー平原では、ミシシッピー川によって堆積された土や、風積土である黄土(レス)の末端斜面での崩壊の問題を抱えています。
 ロッキー山脈は古生代や白亜紀からなる地層にカンブリア紀の隆起が組み合わさった堅固な山脈となっている。かつ乾燥地であることから、砂防上の問題は少ないが、露岩山地での岩石扇状地で少量の降雨で土石流が発生することがあります。
 また、サンアンドレアス断層があり、この断層沿いでは、地震が多発し地すべりの他、山地の崩壊もある。さらに、太平洋側に点在する火山周辺では、火山噴火による崩壊や泥流が発生することが多い。1980年のセント・ヘレンズ火山の山体崩壊と大土石流は有名です。
 ロサンゼルスの背後にあるサン・ガブリエル山脈は、度重なる山火事によって斜面が裸地化し土砂流亡が激しいことで有名です。

(b)中央・南アメリカ
 中央から南アメリカに欠けては、環太平洋造山帯の一部を成す新規造山帯と、ゴンドワナランドを構成する安定陸塊に分けられます。前者が、メキシコ、中央アメリカ、西インド諸島、アンデスで、後者が残りです。新規造山帯の地域は、一般に急峻な山岳あるいは高原で構成されており、火山が各所に群を成しているため、土砂移動現象が多いのが特徴である。他の火山地域と同様に、噴火による泥流の発生や、火山噴出物の堆積層の侵蝕による大流出土砂源による土砂災害が幾度となく発生しています。また、アンデスの造山活動は継続中で現在も活発な火山活動と激しい地震が頻発しており、大規模な土石流や大崩壊が発生する危険性の高い地域です。
 一方の安定陸塊は、古期の岩石が露出した台地と堆積物が堆積中の平地に分かれます。台地は、ギアナ高地、ブラジル高原、パタゴニア台地などがあり、平野は、オリノコ平野、アマゾン平野、ラプラタ平野です。このうち、ブラジル高原の南東部に海岸山脈やジュラネール山脈があり、これらの山脈には、岩石の質の違いによる断層崖が存在し、東側、大西洋側は、土砂移動現象の顕著な地域になっています。

 4.その他
  オーストラリアやニュージーランドでは、200から300年前から牛の過放牧で、ガリー侵蝕と崩壊が大規模で発生した。

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