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国有林の話
【国有林の分布状況】 |
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【委託林制度】 委託林制度は、国有林の一部を地元の集落に国有林の保護を委託する制度です。保護を委託された住民は、一定の林産物を無償または、低価格で購入することが出来ます。これは、自家消費用がほとんどで、薪炭や山菜等が対象でした。一方、販売目的でお金になる薪炭やキノコ等については、有償です。これは、慣行特売制度といいます。 当初は、利用がほとんどでしたが、途中から、資源不足を補うための育林も始めます。伐採跡地への補植などです。集落に仕事の依頼が来て、集落で対応する。住民は参加するしないの選択は出来ます。国有林側からすれば、安い費用で森林経営が出来ていました。 一応契約期間は5年です。但し、必要に応じて延長することが出来ることになっています。当初は、積極的ではなかったのですが、1920年頃から積極的になります。地主と小作人の関係が崩れてきて、貧富の格差が大きくなっていったことが大きな背景になります。土地のない農民にも現金収入の場を提供し、治安の維持として国有地を雇用の場として活用したのです。 国有林側から見た場合、大きな問題は、盗伐と放牧でした。盗伐は、これまでの木工細工のため伐採で、木桶など日用品を作るための行為でした。また、荒廃した土地があり、火入れを行いながら馬や牛を飼育していました。当時は、車はなく、移動手段、運搬手段として馬や牛が必要だったからです。この状態が続けば、土砂流亡が続くため、洪水など自然災害が起きやすくなります。植林する必要があり、火入れの禁止、植林は、放牧地域の縮小に繋がるのですが、森林鉄道の登場等、運送手段の変革で衰退していきました。 盗伐対策は、薪炭作りに移行させていきました。 第二次世界大戦後、ガスや電気の普及に伴う燃料革命の結果、1960年代に委託林制度は終了します。拡大造林という、広葉樹から針葉樹の人工林に樹種転換する中、専門の作業員を雇用するようになります。また、土地改革で、小作農民にも土地が与えられました。自分の田畑を管理するのに忙しくなり、山仕事に従事できなくなったこともあります。 これも、委託林制度が終了する原因の一つです。 委託林制度から共用林野制度へ 第二次世界大戦後、委託林制度から共用林野制度に変更されます。大きな変更点は、委託林制度の時は、集落の有力者を中心に代表者を決めていたのですが、選挙によって代表者を決めるようになったことです。また、見回りなどの義務がなくなったことです。結果、無償で使う事も出来なくなり、全て有償になりました。逆に、それだけ豊かになったともいえます。 日本における造林の歴史は、古いが専門的な技術を持った作業員は、一部の地域、林業地を除いて、ほとんどおらず、大部分が天然更新であったため、地方には造林技術を持った人材はいませんでした。一番の理由は植栽する必要が無かったからです。従って、本格的に国有地で人工林経営を行うには、人材不足でした。また、技術を持った人材は、すでに私有林で活躍していたため、国有林に来ませんでした。このため、どのように、作業員を確保するかが課題でした。 作業員は、交通手段など、今と違い、移動が難しい時代でしたので、国有林のある地域の住民=農民が対象になります。このため、国有林も地元経済を意識しながら造林事業を進めていきます。作業員は、組合を組織し、仕事を受託します。国有林側から見れば、個々で対応するには、面倒だからです。集落で組合が結成され、国有林からの仕事の受け口になります。 当時は、放牧地も多数あり、国土保全のためにも植栽して森林に戻す必要があり、木質資源の確保も相まって、植林の仕事は沢山ありました。ただ、国で決められた給料だけでなく、米と塩、味噌も提供されていました。病気や天候で仕事が出来ないときは、給料は支払いませんが、米、塩、味噌は、少し量が減りますが、支払われました。この様にして、人材の確保を行政は行ってきました。 一部の途上国では、産業造林としてチーク林栽培を行う際、米などの食糧や油、石鹸等を支給した事例ががあります。コートジボアールやミャンマーで見たことがあります。考えることは同じと言えます。ミャンマーでは、バッテリーを渡していました。そのバッテリーでテレビ(白黒)を山間地域でチークを育てて暮らしていました。 共用林野制度とは、土地は、国有林だけど、地元に縁のある人のグループが使える制度です。逆に、地元とは関係の無いグループは使うことは出来ません。3タイプあり、①普通共用林野、②薪炭共用林野、③放牧共用林野です。①では、128万ヘクタールが利用されており、枯れ木、木の実、草、キノコなどを採取しています。基本無料です。②は、自家用薪炭材として約3万ヘクタール利用されていますが、年々需要が下がっています。低料金での利用となります。③は、0.7万ヘクタールとわずかですが、牛馬を放牧できる林野です。低料金での利用となっています。契約件数は1149件で、合計面積は約131万ヘクタールとなります。共用者数は約46万人で、共用林野面積の67%は東北地方に存在しています。結果として共有地を国有地に取り上げた森林を住民に戻した格好となっています。一度取り上げると、解決することは容易ではありません。 |
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【共用林野制度】 1945年の第二次世界大戦終結後、委託林制度から共有林野制度に変更された。大きな変更点は、委託林制度では、集落の有力者から代表者を決めていたけれども、共用林野制度では、選挙によって代表者を決めることになった点である。この他、見回りの義務がなくなったこと、このため、利用の場合は有償になった。 土地は、国有地であるが、地元に縁のあるグループが使える制度です。逆に地元と関係のグループ(NGO、企業等)は使うことが出来ない。なお、共用林野には4タイプある。
契約件数は1149件で、合計面積は約131万ha、共用者数は約46万人となっている。共用林野面積の67%は東北地方に存在しており、共有地を国有林に編入したが、結果として住民が使えるようにしている。但し、制度開始は境界確定から26年もの時間が掛かっており、制度が実務的に動くには、さらに時間が掛かっている。 |
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【分収造林】(国有林関係) 造林者が契約により国有林野に木を植えて、一定期間育てた後、伐採し、その販売代金を国と造林者とで一定の割合で分収する制度のことです。1958年(昭和33年)に分収林特別措置法(昭和33法律第57号)が出来ます。 この制度自体は、江戸時代の幕藩体制から存在していた制度です。また、1920年(大正9年)から始まった「公有林野官行造林事業」も分収造林の一種です。 この分収林制度の意義は、 ・地元施設制度(国有林野所在地方住民の福祉を目的として行われる施策)の一つとして、地元林業の振興と農山村の財産形成を図ること。 ・国民参加の森林づくりの一環として、緑資源の確保への国民の要請に応えること。 となっています。
分収時の取扱い
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【保護林】 原生的な天然林などを保護・管理することにより、森林生態系からなる自然環境老い時、野生動物の保護、遺伝資源の保護、森林施業・管理技術の発展、学術の研究などに資することを目的としている国有林。 平成30年(2018年)より、林生態系や個体群の持続性に着目した分かりやすく効果的な保護林区分の導入、簡素で効率的な管理体制の再構築、森林生態系を復元する考え方の導入などが盛り込まれた「保護林設定管理要領」が制定され、①森林生態系保護地域、②生物群集保護林、③希少個体群保護林の3区分に再編成して保護・管理することになった。
少し前の保護林について 種類は、 ①森林生態系保護地域(原生的な天然林を保存することにより、森林生態系からなる自然環境の維持、動植物の保護、遺伝資源の保存、森林施業・管理技術の発展、学術研究等に資する保護林。世界自然遺産地域の9割以上が森林生態系保護地域になっている。) ②森林生物遺伝資源保存林(森林と一体となって自然生態系を構成する生物の遺伝資源を森林生態系内に保存し将来の利用可能性に資する保護林) ③林木遺伝資源保存林(主要林業樹種及び稀少樹種等に係る林木遺伝資源を森林生態系内に保存し、将来の利用可能性に資する保護林。) ④植物群落保護林(我が国または地域の自然を代表するものとして保護を必要とする植物群落及び歴史的、学術的価値等を有する個体の維持を図り、併せて森林施業・管理技術の発展、学術研究等に資する保護林。) ⑤特定動物生息地保護林(特定の動物の繁殖地、生息地等の保護を図り、併せて学術研究等に資する保護林。) ⑥特定地理等保護林(我が国における特異な地形、地質等の保護を図り、併せて学術研究等に資する保護林。) ⑦郷土の森(地域における象徴としての意義を有する等により、森林の現状の維持について地元市町村の強い要請のある森林を保護し、併せて地域の振興に資する保護林。) の7種類となっている。 全国の分布状態(旧)
保護林の歴史 1915年(大正4年)に、保護林制度が発足し、翌年の1916年(大正5年)に上高地や白馬を最初の保護林に設定。 1931年(昭和6年)に、見直しを含め、重複していた保護林を一部解除します。 1973年(昭和48年)に国有林の公益的機能を維持増進させるため、保護林を増設します。 1986年(昭和61年) 3.保護林の管理 森林生態系保護地域は、原則として人手を加えずに自然の推移に委ねる「保存地区」と、保存地区の緩衝帯としての役割を果たす「保全利用地区」に区分している。 保全地区の取り扱い方針 (1) 基本的に人為を加えず、自然推移に委ねるものとする (2) 個体群の状況に応じた取扱い ア 目的とする個体群の保護・増殖に必要な森林施業は可能とする イ 一時的な裸地の出現等、遷移過程におけるかく乱が対象個体群の持続的な生育・生息に不可欠な場合には、必要な森林施業を行うことにより、人為による環境創出等を行うことができる (3) 必要に応じて行うことができる行為 ア 学術の研究、自然観察教育、遺伝資源の利用その他公益上の事由により必要と認められる行為 イ 山火事の消火、大規模な林地崩壊・地すべり・噴火等の災害復旧及びこれらに係る予防的措置等、非常災害に際して必要と認められる行為 ウ 鳥獣・病害虫被害及び移入種対策として必要と認められる行為 エ 学術の研究、自然観察教育等のための軽微な施設の設置 オ 標識類の設置等 カ その他法令等の規定に基づき行うべき行為 保全利用地区の取り扱い方針 保全利用地区は保存地区の森林に外部の環境変化の影響が直接及ばないよう緩衝の役割を果たすこととする。保全利用地区の森林については木材生産を目的とする森林施業は行わないこととする。また、人工林については将来的には天然林への移行を図るよう取り扱うこととする。ただし、次の行為については行うことができることとする。 ア.保存地区と同様の管理行為 イ.枯損木及び被害木の伐倒、搬出 保全利用地区の利用については、次の行為に限るものとする。 ア.保存地区と同様の利用行為 イ.保全利用地区の設定趣旨等に反しない範囲で行う次の行為 (ア)森林環境教育及び森林レクリエーション (イ)(ア)の行為のために必要な道路、建物等の設置 (ウ)地域住民によるイノシシ猟及び山菜等の採取
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・境界の管理 ・都道府県別森林面積の割合 |