きこりの森林・林業の教科書
②日本の森林は誰のもの?

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森林・林業に関連する法律 森林法 林業基本法 森林・林業基本法 分収方式による造林と育林 メモ
分収方式による造林と育林
 分収林業(profit-sharing forestry)とは、土地所有者と造林者とが、一定歩合(4:6とか5:5等)の収益分収を約束して行う育林業のことである。
 土地所有者、造林者の他、費用を負担するものも含め、三者による分収もある。

 
二者契約の場合   三者契約の場合

 分収育林契約は、一定の土地に植栽された樹木の保育並び管理に関し、造林地所有者(育林地所有者)、造林者(育林者)、造林費用負担者(育林費用負担者)の三者、または、二者が締結する毛ヤクで、契約対象樹木の保育及び管理、樹木の共有及び伐採収入の分収を契約内容とする。

二者契約の場合   三者契約の場合

 もともとは、吉野林業で有名な奈良県南部の川上村や東吉野村で行われていた、土地の所有と森林経営を分離した木材生産が有名で、借地林業と呼んでいた。
 一方で、戦後の拡大造林時代に、薪炭目的の広葉樹からスギ、ヒノキへの針葉樹へと樹種転換を図る際、分収造林の仕組みが多く使われるようになった。
 このため、昭和33年(1958年)に、分収林特別措置法が出来、国や都道府県、市町村が地上権を持ち、土地は民間から数十年無用貸与を受ける官行造林、県行造林、市行造林という契約でスギ・ヒノキの人工林が一気に増えることになった。
 官行造林、県行造林のため、本来であれば、国や地方政府が管理することになるが、実際の作業は森林組合等に委託することになった。
 土地所有者は、植林や間伐、保育に関する費用負担は無く、固定資産税などの土地の維持費を負担するのみであった。



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