きこりの森林・林業の教科書
②日本の森林は誰のもの

はじめに 森林管理 国有林の話 民有林の話 土地問題 林政の歩み 森林・林業に関連する法律 税金
基本情報 都道府県有林 市町村有林 財産区有林 個人所有林 企業所有林 林業普及員制度 メモ
現状 森林経営計画 メモ
【個人所有林の現状】
個人所有林とは、個人が持っている森林のことです。
一般的には、小規模所有者が大半を占めています。
自伐林業を行う場合、最低でも兼業では、10ha、専業では30haが必要と言われています。

また、大規模森林所有者の場合、一箇所に纏まっていることは少なく、分散していることが多い。

林家・林業経営体の数と保有山林面積(2015年農林業センサス)

1-3ha 3-5ha 5-10ha 10-20ha 20-30ha 30-50ha 50-100ha 1-500ha 6-1000ha 1000ha
以上
林家数  戸数 469,816 146,871 110,944 59,650 18,617 12,713 6,715 3,316 224 107 828,973
割合(%) 56.67 17.72 12.28 7.20 2.25 1.53 0.81 .04 0.03 0.01
保有面積 面積(ha) 770,123 523,575 722,016 768,328 423,128 453,444 432,885 608,709 149,538 323,046 5,174,793
割合(%) 14.88 10.12 13.95 14.85 8.18 8.76 8.37 11.76 2.89 6.24

多くは小規模森林所有者である理由は、家の後ろが森林のケースです。以下の写真から分かるように、農地周辺の傾斜地が森林として残っています。かつては、燃料や飼料、肥料用に広葉樹の二次林でした。
場所によっては財産区(入会地)のケースもあります。
相続の関係で、土地が分割され、更に小規模な森林所有者が多くなっているのが現状です。

元々里山。農家の家の背後にある森林。かつては薪炭に利用
燃料革命後、広葉樹から針葉樹に樹種転換(小面積のため、いざの時用に残している)
管理を放棄した結果、竹の植林地への侵入が発生している。

家の後ろにスギ林

平地林。インフレ対策として植林を江戸時代にしていた地域の近く

平らな土地は、水田として利用。それ以外は元々森林(薪炭林)
経済的価値がなくなった森林は、住宅地や向上等に利用転換。
斜面など利用出来ない場所が森林として残っている。

大規模森林所有者の悩み
分散した森林。
江戸時代に、Lさんのように庄屋だったり、酒造会社は、金持ちであったため、部落の農民が借金をすることが多くありました。基本は、春に借りて、秋に還すスタイルです。
しかし、思うように収量が得られなかった場合、借金が増えることになります。
返済が出来なくなると、土地は庄屋や酒造会社のものになります。Aさん、Hさん、Kさんは、Lさんの小作人になります。今で言うところの従業員です。
特に、酒造会社は、酒造りの過程で大量のスギが必要です。酒樽の材料はスギだからです。このような形で有名な酒造会社は森林を増やしていきました。

取り上げた土地には、元の所有者の農民を使って、植林をさせてきました。木場作を通じて、畑にも使えない傾斜地では、陸稲や豆、株と一緒にスギ・ヒノキを植えました。また、楮や三椏を植えて、和紙の原料確保もしました。投資が利益を生み、酒造会社さんは益々豊かになります。
地元の名士になっていきます。
明治時代に入り、地租改正で土地の所有が明確となりますが、土地を整理することが無いまま、今に至っています。このように大規模森林所有者は、各地に点在する森林を持つ羽目になり、今に至っています。

また、土地を相続した場合、Eさんのように分割することもあります。
人間関係の問題




きこりの森林・林業の教科書

By きこりのホームページ