きこりの森林・林業の教科書


⑩木材を使おう

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木炭
基礎情報 特性 木炭の灰 木酢液 炭の利用
木炭とは、薬剤、防腐剤、防蟻剤、接着剤、塗料等を使用していない木材で製造された炭のことです。

【木炭の定義】
用語 定義
木炭 木材質を炭化した物
黒炭 白炭以外の木炭
窯内の消火法により炭化温度400℃から700℃前後で木材質を炭化したもので、精錬度が3から9の木炭
白炭 築窯製炭法の窯外消火法のみにより製造した木炭
窯外消火法により炭化温度が800℃以上で木材質を炭化したもので、精錬度が0から4の木炭
黒炭で3cmの金篩いから漏れた物
白炭で2.5cmの金篩いから漏れた物
黒炭くり クリ、ホオ、ウルシ、ヌルデ、ハゼノキ等の広葉樹で製造し黒炭。
性質がクリに似ているため、他の広葉樹の炭と区別している。
黒炭まつ 針葉樹から製造した黒炭
黒炭粉 黒炭の粉
黒炭の粉に白炭の粉を混ぜた物
白炭くり クリ、ホオ、ウルシ、ヌルデ、ハゼノキ等の広葉樹で製造し白炭。
性質がクリに似ているため、他の広葉樹の炭と区別している。
白炭松 針葉樹で製造した白炭
白炭粉 白炭の粉
備長炭 白炭のうちカシ、ウバメガシを炭化したもので、精錬度が0から3の木炭
おが炭 鋸層、樹皮などを原料としたオガライトを炭化した木炭
その他木炭 黒炭、白炭、備長炭、オガ炭以外の木炭
木炭 木材。
ただし、薬剤、防腐剤、防蟻剤、接着剤、塗料等を使用していない木材

木炭の形状
区分 定義
塊炭(丸) 丸もの(割らない原木)を炭化したもの
塊炭(割) 割った原木を炭化したもの
塊炭(その他) 粒径が30ミリ以上のもの
粒炭 粒径が5ミリ以上30ミリ未満のもの
粉炭 粒径が5ミリ未満のもの


【炭の歴史】
 最初は、「伏せ焼き」だと言われています。地面に木を積み重ねる場合、穴を掘って木を詰め込む場合など、方法は違いますが、共通しているのは、この上に土や砂で覆うことです。下から火を入れて、蒸し焼きにします。ただ、最初は、土や砂で覆うこと無く作っていたとのこと。
 
文明 特徴
中華文明 白炭 文明が早く開けた長江周辺、黄河の西安周辺
換気が良くない中国の家屋で、ガス中毒を回避するために一酸化炭素の発生量が少ない炭として開発。高温でガス分を抜くのが特徴
黒炭 広西、雲南、東北地方等文明後進地域
中東文明 黒炭 窯の上から木材を入れ、下から炭出しする方法
中国式と異なり、温度調節がない
ヨーロッパ 黒炭 肉料理にあう炭作り
林地で小型の炭窯で作る。
アジア、アフリカなどの植民に普及

【日本での利用の歴史】
 中国地方で砂鉄が取れた関係で、たたら製鉄の過程で炭を利用。炭窯の遺跡も、製鉄遺跡とセットで存在。
 天平勝宝4年(753年)に開眼法要が行われた奈良の大仏を鋳造する際に、800トン近くの木炭を利用したとのこと。炭焼き窯で炭を作るのは、仏教の伝来とともに伝わったと言われており、平安時代の遣唐使などが、白炭の技術を浙江省あたりから導入したとのこと。

 黒炭は、鎌倉時代の刀剣や甲冑作りを進める中で、生産技術が発達します。鉄の需要に合わせて、炭を大量生産するために効率化を図った結果です。その結果、炭の取引所も開設され、木炭業者の組合として、「炭座」が、鎌倉七座の一つとなります。他は、絹座、米座、檜物座(曲げ物)、千朶積座(薪・雑貨)、相物座(干し魚・塩魚)、馬商座(博労座:馬の病気、売買、鑑定)です。
 室町時代に茶の湯が始まると、茶道に合う炭質が求められ、実用だけではない墨作りも始まります。

 江戸時代に入ると、各藩の財政を支える有力な資金源として、炭が利用されます。各地で炭のブランドが始まります。

 
生産地 呼び名 樹種 用途
紀州藩(和歌山県・三重県) 備長炭 ウバメガシ 白炭・色々
伊豆(静岡県) 天城炭
天城御用炭
佐倉藩(千葉県) 佐倉炭 クヌギ 黒炭
秋田藩(秋田県) 秋田炭 コナラ 白炭
加賀藩(石川県) 加賀炭 鍛冶用
延岡藩(宮崎県) 白炭
大阪 池田炭 クヌギ 黒炭・茶道
横山炭 茶道
光滝炭 茶道


 

【木炭が出来るまで】
炭窯を加熱すると、窯内の温度が100℃になると、木材の水分が蒸発する。
200℃になると、国財成分の当夜リグニンの熱分解が始まる。
木材の熱分解速度は200~400℃で、木材の表面はドロドロの液状になっている。
500℃以上になると炭素の結晶化が始まり、木炭特有の細孔構造が発達する。
このため、400度前後で出来た炭には、細孔構造が無いため、燃料以外の使い方が出来ない。





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