きこりの森林・林業の教科書
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樹木の形態と内部構造 樹冠構造と幹の生長
樹木の形態と内部構造
樹木とは
維管束を持つ高等植物は、草本類と木本類に分類できる。
樹木は、木本類に属し、草本類と比べ、幹や枝の先端、根端になる頂端分裂組織(成長点、茎頂)がある。
幹、枝、根の外周にあるリング上の分裂組織である形成層からなっている。
高木性の樹木が長寿で大木になれるのは、頂点分裂組織による伸長成長と、形成層の細胞分裂による肥大成長を続けているからである。

形成層で分裂した細胞のうち、内側に送り出された細胞は、材の組織(木部)を形成する。
木部の細胞は、しばらくすると死ぬが、死んだ細胞は、広葉樹なら、導管、針葉樹なら仮導管の通道組織を形成する。これは、根から葉に水を運ぶ役割を持つ。この導管や仮導管の部分を、辺材である。
辺材には、師部と連なる放射柔細胞という生きた細胞が存在し、光合成物質を材内に貯蔵する役割を果たす。
辺材の通道組織や放射性柔細胞も、内側の古い部分から役割を終え、機能しなくなるが、崩壊した組織の物質にタンニンン等の物質が加わり、幹、太枝、大径根の内部に蓄積され、拡大していく。この生理機能を失った部分が心材となる。
木口面を見ると色の濃い部分になる。

一方、外側に送り出された細胞は、師部(内樹皮)を形成する。
師部は、葉で生産された物質を、枝、幹、根に輸送し、貯蔵する役割を持っている。
師部のコルク形成層によって師部の外側に形成される外樹皮は、厳しい気象条件や外敵から、内部組織を保護する。

樹木の各部
樹木の構成する基本的な栄養器官は、茎(幹、枝)、葉、根の3種類である。
有性生殖を行う生殖器官として花があり、生殖の結果として種子を含む果実を形成する。

(1)葉
 葉とは、通常、葉を構成する細胞に光合成を行うための葉緑体を持ち、効率よく光を受けられるよう扁平な形をしている。気孔による蒸散と光合成を主な働きとする葉を、普通葉という。
 普通葉以外には、子葉、鱗片葉(光合成をしない)、包葉、花の構成要素の萼片、花弁がある。


(2)幹・枝
 枝は、主幹から分かれた茎のこと。主に腋芽から伸びたもの。
 光合成器官である葉を空間に効率よく配置し、支持する働きがある。
 また、根で吸収した水分、無機塩類を葉に送り、葉で作られたどうか産物を枝・幹や根に送る役目、同化産物を貯蔵する役割もある。

・葉序
 葉が付いている枝の部分を節といい、エフしと節の間を節間という。葉は枝のまわりに規則的に配列する。その配列の仕方を葉序という。


・芽
 芽とは、シュート(茎とそれに付く葉からなる単位)の未発達の状態で、発達して、茎、葉、花になる。
 茎の先端の芽を、頂芽、茎の側方に形成される芽を側芽。頂芽と側芽は、定芽という。。
 通常芽を出さない茎の節間部や葉、根の位置に形成される芽を不定芽という。

・長枝と短枝
 節間が長く伸びた枝を長枝といい、著しく短くなった枝を短枝という。
 長枝は、情報や側方の空間に枝を伸ばすことで、空間を獲得、樹冠を大きくする役割がある。
 短枝は、獲得した空間(樹冠の内側)に効率よく葉を付けさせる役割がある。

・分枝(枝分かれ)
 樹木はシュートを積み重ねながら樹形を形成していく。
 無分枝は、枝が無く、幹から直接葉が生える。
 単軸分枝は、シュートの先端に頂芽が形成され、その頂芽からシュートが先へ先へと伸びる。
 仮軸分枝は、その頂芽が成長していく途中で、頂芽が枯れるか脱落する中、最先端の頂芽から次のシュートが伸びることを繰り返す。
 


・樹形
 1本の樹木の枝や葉の広がりを樹冠(クローネ)という。 
 樹形は、大きく分けると、単軸型と仮軸型、その中間型に分けられる。
 また、針葉樹は、樹形の先端部は、尖頂型、鈍頂型で、樹形は円錐状になる。
 一方、広葉樹の多くは、成長するに従って、主軸が明確でない、仮軸型、あるいは単軸型と仮軸型の中間型になる。
 幼樹期を過ぎると、側芽も勢いよく斜め上方に伸長し、枝も太くなるため、樹形の上端は、延長上になり、樹冠全体は、半球状になる。



(3)根
 根は、多くは地中にあり、土壌中から水分や無機塩類を吸収し地上部へ送る事、地上部を支えることが主要な役割がある。
 根の働きから、呼吸根、支柱根、付着根、貯蔵根がある。また、存在位置から、通常の地中根に対し、地中にない気根、水中根がある。

 根の全体を根系という。樹木では、種子の胚から伸びた幼根が太く発育して主根を形成し、そこから分岐した側根とで根系を形成する。

 根系の形態は、樹種によって異なり、根が地中深く張る深根性樹種、地表近くで発達する浅根性樹種に分かれる。

タイプ 深根性樹種 浅根性樹種
主な樹種 アカマツ
クロマツ
スギ
モミ
クヌギ
カシワ
ケヤキ
クリ
ヒノキ
ヒバ
エゾマツ
カラマツ
トウヒ
カンバ類
ニセアカシア
ヤマナラシ
※元来、深根性樹種であるが、中年以降になると、直根の成長が衰退し、多数の側根を生ずる樹種もある。
例えば、アカマツ、クロマツ、ハンノキ

・根系の競争


(4)花・果実・種子
 花は、種子植物では、有性生殖を行うための器官である。生殖の結果、種子を含む果実を形成する。
 花は、進化の過程で葉と茎(一つのシュート)が変化したものと考えられている。

・花
 花には、単性花と両生花がある。単性花は、雌花、雄花に区分される。
 大部分の針葉樹は、雌雄同株で、単性花を付けるが、雌雄異株もある。
 広葉樹は、雌雄両全、雌雄同株、雌雄異株、混株など、様々なタイプがある。

木本類
タイプ 針葉樹 広葉樹
雌雄同株 雌雄異株 雌雄両全 雌雄同株 雌雄異株 混株
主な樹種 マツ
スギ
ヒノキ
イチョウ
カヤ
イチイ
イヌガヤ
ナギ
モッコク クリ
マンゴー
パパイヤ
キウイ
クワ
ヤナギ類

草本類
雌雄両全 雌雄同株 雌雄異株 混株
トウモロコシ
カボチャ
キュウリ
すいか
アスパラガス
ホウレンソウ
フキ
ホップ
アサ


・果実と種子
 針葉樹のマツ科やヒノキ科の果実は、球果という。多くは、種子に翼(よく)がある。
  針葉樹も広葉樹も、果実や種子の形態は、種子の散布方式と密接な関わりがある。

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