きこりの森林・林業の教科書
⑧林業経営を始めよう

はじめに 樹種の種類 苗木から植栽 植栽から保育 間伐から主伐 伐採・搬出 林道管理 安全対策 レクリエーションの森 メモ
育種の考え 苗木調達の仕組み 林業品種 種子の確保 苗木作り メモ
苗木から植栽:林業品種

1.実生苗と挿し木苗
 種子から育成した苗を実生苗、穂木を床土に挿しつけるなどして発根を促し、増殖した苗を挿し木苗という。実生苗は、親の遺伝形質が異なること。一方、挿し木苗は、親の遺伝形質が同じであること。
 このため、環境の変化に適応力のある森林を作るには、実生苗を使用すること。
 花粉症対策等、無花粉スギ、少花粉スギ等を植栽するには、挿し木苗を使用する。形質が同じであるからである。

 積雪寒冷地では、実生苗の方が環境に対応するため、有利な苗木となっている。

2.エリートツリー&特定母樹
 エリートツリーは、精英樹と呼ばれる成長のよい樹木同士の交配F1の中でも、より成長性に優れた第2世代精英樹を呼ぶ。
 特定母樹は、林業種苗法に定められた8樹種のうち、単木材積で周囲にある木の材積(10個体以上の平均値)の概ね1.5倍以上で、花粉飛散量が従来のスギの半分以下のものを指し、農林水産大臣が指定したもの。


品種改良の程度



スギ・ヒノキにおける選抜基準及び指定基準
項目  エリートツリー  特定母樹 
成長量 次代検定林において単木材積が5段階評価で4以上(上位31%以上) 概ね10年生から20年生林分における単木材積が在来系統の概ね1.5倍以上
剛性 著しい欠点がないこと 候補木と同様の林分の個体の平均値と比較して優れている
通直性 著しい欠点がないこと 曲がりが全くないか,若しくは曲がりがあっても採材に支障ないもの
雄花着花性 候補木周囲の林齢の近い一般的なスギ・ヒノキの平均値未満 候補木周囲の林齢の近い一般的なスギ・ヒノキの平均値未満
自然着花による雄花調査 総合指数が隣接林分の平均値以下 総合指数が2以下で、かつ申請個体等の周辺の林齢の近い一般的なスギの総合指数以下
ジベレリン処理による雄花調査 総合指数の平均値が4.0未満 総合指数が3.4以下


3.林業用種苗需給連絡協議会(優良種苗需給調整協議会)
 地区及び各都道府県において、林業用優良種苗の需給情報の共有等を図ることを通じ、その生産の安定と適正な流通を促し、造林の円滑な実施のため、設置します。

 地区レベルでは、関係都道府県、森林管理局、林木育種センター又は同センター育種場、同機構森林整備センター又は整備局、都道府県森林組合連合会、都道府県山林種苗協同組合、認定特定増殖事業者
 都道府県レベルでは、都道府県の森林部局、森林整備センター、森林組合、苗木生産組合等で構成される。

・種苗の需要量及び生産量の調査
・種苗の需給情報の共有
・苗木及び種穂の生産・確保
・産地及び系統区分
・採種園&採穂園の整備
・備蓄用種子の生産、貯蔵及び販売
・苗木等の予約生産等
・種苗の表示
・生産事業者への支援
といった役割があります。


協議する内容は、

(1) 種苗の需給計画の検討に関する事項
(2) 当年度山行苗の需給調整の検討に関する事項
(3) 優良種苗の系統管理に関する事項
(4) その他必要な事項





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