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苗木調達の仕組み:育種の考え
良い森林は良い苗木から |
木材生産目的に、植林が始まった頃は、形状の良い樹木のある森林から種を集めて植林していました。日本の林業地の多くは、奈良県吉野地方や三重県熊野地方のスギの種を入手して、人工林経営を行っていました。 江戸時代の話です。資源不足から植林を通じて資源を増やすためには、良いものを選んでいたのです。 京都の北山杉や九州のスギは、挿し木で増やす方法も行われていました。近場は挿し木で、遠くは種を持って増やしていったのです。 こんな当たり前が通じなくなる時期が来ます。それは、第二次世界大戦後です。 資源不足を解消とする戦争であったため、使える資源は使うということで、日本中至る処が禿げ山でした。木で戦闘機を作るくらい資源不足だったからです。このため、戦後に行ったのが、緑化のための植林です。 せっかく植林するなら、スギやヒノキといった経済的にお金のなる木を植えたいという動機の元、日本中で植林が行われます。早く緑にしないと、荒廃した山からの土砂が水害を招きます。 国有林を中心に植林が行われますが、問題は、苗木不足です。需要と供給が一致しなければ、緑化できません。結果、戦前からある苗畑だけでは足りず、苗木を外部から調達することになります。 結果、雨後の竹の子のように苗畑が誕生します。理由は、買ってくれるから。買ってくれるのが判っているので、昨日まで苗木を扱ったことが無い人たちまで、苗木作りに参入しました。 結果は、質の悪い苗木も沢山生産され、山に植栽されたのです。 数十年後に収穫しようとしても、曲がった木、成長の悪い木等、利益を生まない木が植えられたのです。 その結果、昭和32年(1957年)から国の事業として林木育種事業が開始しました。 |
林木育種は、広大な土地と長期間の時間が必要なため、国家事業として世界中で行われています。 農作物の場合、新品種は数ヶ月から数年で結果が出るが、林木は数十年かかるため、新品種というのを生み出すのは現実的では無く、既存の中から見付けるのが現実的です。 1930年代のスェーデンで、成長や形質の良い優れた樹木を「精英樹(エリートツリー)」として選抜し、採種園・採穂園として確保しました。これを造林事業用の種や苗木生産の基にしたのです。これに次代検定林を作り、次の世代に良い木を作る事が始まります。これが、集団選抜育種法です。 先進国であったスエーデンより、リンキスト博士が来日して、指導するのです。 |