きこりの森林・林業の教科書



⑫森林を守ろう

概要 病虫害と対策 獣害 気象害 森林火災 竹林対策
主要な病虫害と対策
ナラ枯れ
マツクイムシ
ウサギ
ネズミ
鹿


マニュアル類
冠雪害
塩害
火災予防
消火活動
森林保険制度
タケの特徴
タケノコ栽培
竹林の整備
竹の活用
マニュアル類


雪害
【冠雪害】
湿った雪が樹木の枝や葉に付着して、その重量を幹や枝が支えきれずに折れたり、曲がったり、倒れたりする被害。10~30年生の閉鎖した若齢段階の林分に被害が多いのが特徴。

被害形態
被害 幹折れ 裂け 梢端折れ 曲がり
幹曲がり
倒れ 根返り
発生しやすい林齢 3齢級後半から6齢級くらいまでに多い。
折れの部分が短い
3齢級後半から6齢級くらいまでに多い。
折れている部分が長い
比較的高齢級の木に多い。
梢端の細い部分で折れる。
3齢級から4齢級に多い。
根元は直立したままで幹が湾曲する
3齢級以下に多い。
根本から倒れる。
3齢級以上に多い。

<被害を受けやすい森林>
 過密になった林。もやしのような林。
 過密状態から間伐したての森林

<対策>
 間伐の実施によって、形状比の高い木を減らしていく。
【雪圧害】
 幼齢期に樹幹が埋雪し、その沈降圧や斜面からの移動圧によって発生する被害。折損や樹形の変化が起きる。ただし、積雪深に対し、2.5倍の寿光を超えれば、発生頻度が低下する。


もともと、薪炭林で利用されていた地域で、広葉樹から針葉樹に樹種転換した拡大造林以降、日本では東北地方や日本海側で被害が起きている。ヨーロッパでは天然林の被害が注目されているが、日本の場合は、雪にも強いはずの杉の造林地が成績不良造林地となったことで、被害発生地として注目されている。
【塩害】
 塩害とは、土壌中の過剰な塩が植物に及ぼす害のこと。
 土壌に含まれる主要な塩類は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムがある。この中で、ナトリウムは必須元素ではないので、このナトリウムが、有害物質となり、害を与える。
 塩水の方が、植物の体液よりも浸透圧が高い場合、細胞液の溶液から塩水側に水が移動し、吸水できなくなるからです。しかし、数時間後には、塩水と植物の体液間の浸透圧差が解消され、萎れた状態から復活します。
 数日後には、大量のナトリウムを取り入れた状態になるのですが、一方で、必須元素であるカリウムが十分な吸収が出来なくなる。カリウムは、生命活動に必要なタンパク質や核酸などの合成に必要な物質であるため、カリウムの欠乏によって、生命活動は抑制されます。塩分濃度が低下しない限り、生育阻害を招き、最終的に枯死に繋がると言われている。

 耐塩性のある植物は、浸透圧のストレスに適応し、細胞溶液の浸透圧を高めているケースと、土壌から根に流入したナトリウムを外部に排出して、蓄積を防いでるケースがあります。前者は、アルファルファ等の耐塩性植物。後者は、マングローブ(塩腺)やアイスプラント(塩嚢細胞)です。


【過湿害】
 洪水や津波などで根系が水没し、排水が遅滞すると、数日で衰弱し、場合によっては枯死する。
 これは、土壌中の酸素欠乏により、生理的プロセスに影響を与える。
 具体的には、酸素欠乏によって、根の水分吸収が阻害され、樹木の地上部における気孔閉鎖、蒸発散量の低下、光合成の抑制が起き、葉の萎凋、異常な落葉などの症状が発生します。

 湿地帯や氾濫原などで生育する樹木には、低酸素状態でも生育できる能力を持っているため、生育可能となっている。滞水耐性樹種と呼ばれるヌマスギ等は、樹幹基部の過剰肥大(通気組織の発達)や、膝根(しっこん)





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