場所 |
被害名 |
特徴 |
対処法 |
葉 |
マツカレハ
松毛虫 |
マツ林に大発生する主要な森林害虫。
マツ類の他カラマツ、ヒマラヤスギ、モミ等の葉を食べる。
幼虫の被害は8~10月と4~6月。普通、夏から秋の被害は少なく、幼虫が最終齢時の春に被害が目立つ。葉の食害量が60%以下では成長にあまり影響はしないが、90%以上になると成長への影響が大きく、100になると枯死する場合もあるので、大発生時には注意する。
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幼虫の越冬習性を利用して10月ごろ樹幹に“こも''や新聞紙などを巻き付け、ここで越冬した幼虫を集めて早春に焼却する。発生の多いときは9月か4~5月に薬剤を散布する。薬剤の効果は幼虫の若齢期で高く、老齢期では低くなる。
登録農薬:有機リン系殺虫剤(ディプテレックス乳剤、アセフェート剤)、昆虫成長制御剤(デミリン水和剤)
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マツノキハバチ |
5~6月ころに幼虫は群棲してアカマツ、クロマツ、ハイマツなどの針葉を食害する。幼虫は終齢期を除いて常に群棲する習性があり、幼齢林や疎開した林で大発生することがある。普通、同一林分で1~2年間の発生で終息し、連年にわたって発生することはあまりない。
幼虫は4~5月に現われ、1~2齢期の幼虫は1本の針葉を数頭で取り囲むようにして食害し、針葉の中心を糸状に残す。3齢虫以降は針葉を先端から基部まで食いつくすようになり、食害量も多くなる。6月ごろ幼虫は成熟して木から地表面に降り、落葉の中に潜って繭を作る。繭内幼虫で夏を過ごして9~10月に蛹になり、成虫は9月下旬から10月に出現する。卵は針葉の組織内に連続して産みつける。 |
防除は、幼齢木では群棲している幼虫を小枝ごと切除して捕殺する。発生の多いときは4~5月の若齢幼虫期に薬剤を散布する。
登録農薬:有機リン系殺虫剤(ディプテレックス乳剤、MEP乳剤)
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マツノミドリハバチ |
幼虫はアカマツ、クロマツ、ストローブマツ林にときどき大発生することがある。一般に幼齢木に発生が多く見られ、5~8月には旧年葉を食害し、8~11月には当年葉を食害する。
幼虫は群棲して加害するが、マツノキハバチのように同一針葉に体を接して生活するようなことはない。春から夏に出現した幼虫は旧年葉を食害するが、夏から秋に出現した幼虫は当年葉も食害するので、全葉を失った被害木は冬期に枯死するか、春にマツギボシゾウムシなどの加害を受けやすくなる。1回目に出現した幼虫は針葉間や梢頭部に繭を作るが、2回目に出現した幼虫では樹幹の粗皮の割れ目や地表の落葉間に潜って繭を作る。 |
防除は、発生の多いときは5~6月か7~8月の若齢幼虫期に薬剤を散布する。
登録農薬:有機リン系殺虫剤(MEP乳剤)
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マツノクロホシハバチ |
幼虫はアカマツ、クロマツ、カラマツ林にときどき大発生することがある。幼虫は群棲して食害する習性がある。同一林分で1~2年の発生で終息し、連年にわたって発生することは少ない。
若齢幼虫は産卵された針葉の片側を食害するが、成長するにつれて針葉全体を食いつくすようになる。幼虫は群棲して一枝を食いつくすと別の枝へ移動して食害を続け、全葉が食いつくされることがある。1回目に出現した幼虫は成熟すると主として枝上に繭を作り、2回目に出現した成熟幼虫は樹幹を降りて地表に浅く潜って繭を作る。 |
防除は、幼齢木では群棲している幼虫を小枝ごと切除して捕殺する。発生の多いときは6~8月の若齢幼虫期に薬剤を散布する。
登録農薬:有機リン系殺虫剤(MEP乳剤)
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マツノカキカイガラムシ |
幼虫はアカマツ、クロマツの他、外国産マツ属の葉に寄生し、加害する。
成木での被害は軽微であるが、若齢木では多発すると衰弱したり枯死することもある。被害葉は黄変~褐変してすす病を併発する。 |
防除は、隙間伐や枝打ちをして通風をはかることである。発生の多いときは、5月か8月のふ化幼虫期をねらって薬剤を散布する。
登録農薬:ピレスガイド系殺虫剤(アレスリン、マシン油エアゾル)
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マツバノタマバエ |
幼虫はアカマツ、クロマツ、タイワンアカマツなどの針葉基部に潜って虫こぶ(ゴール)を作る。被害葉は生長が止まり、落葉が早まる。被害が進むと林全体が褐変する。被害が2~3年間続くと生長が著しく阻害され、枯死することもある。
卵は初期の針葉の葉間にかためて産みつける。ふ化幼虫は針葉基部の組織内に潜り込み、虫こぶを作る。一つの虫こぶ内に6~7頭の幼虫が棲息し、栄養を摂取して成長する。幼虫は10月から翌年1月ごろに虫こぶから脱出して士中に浅く潜り、繭を作る。 |
防除は、有力な天敵として知られているマツダマヤドリハラビロコバチ、マツタマヤドリコロコバチなど寄生蜂の保護増殖をはかることである。また本虫に対して抵抗性のある松を導入することである。発生の多いときは5~6月の成虫の発生期をねらって薬剤を地表面に散布する。
登録農薬:有機リン系殺虫剤(MEP乳剤)
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新梢 |
マツノシンマダラメイガ |
アカマツ、クロマツ、ゴヨウマツなどの若齢木に多く発生する傾向がある。幼虫は新梢に穿入して内部を食害し、黄白色の粒状の虫糞を排出する。また幹部や球果にも穿入加害することもある。新梢部では褐変枯死被害として、幹部は折損被害、球果被害では種子の結実阻害として現われる。
卵は針葉塞部がその周辺部に産みつける。幼虫は、はじめ針葉内で生活するが、その後、新梢や球果などへ移動し、これらに穿入して加害する。 |
防除は、被害新梢や被害球果は早めに切除して焼却する。被害の多いときは、成虫の発生期からふ化幼虫期をねらって薬剤を散布する。
登録農薬:有機リン系殺虫剤(MEP乳剤)
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マツズアカシンムシ |
幼虫はアカマツ、クロマツ、ゴヨウマツなどの新梢に食い入り、内部を食害して褐変枯死させるため、伸長生長が阻害される。球果にも穿入して種子の結実を阻害する。被害は5~9月の間に発生し、若齢木に大きな影響をあたえる。
ふ化幼虫は新梢に食い入り、内部を食害する。 |
防除は、被害新梢や被害球果は早めに切除して焼却する。被害の多いときは、成虫の発生期からふ化幼虫期をねらって薬剤を散布する。
登録農薬:有機リン系殺虫剤(MEP乳剤)
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マツツマアカシンムシ |
幼虫はアカマツ、クロマツ、ゴヨウマツなどの新梢に食い入り、内部を食害して褐変枯死させる。加害部は新梢の頂端部に限られている。
ふ化幼虫は新梢に食い入り、6月ごろまで内部を食害する。成熟した幼虫は夏期を加害部の中で過ごし、秋に蛹化する。 |
防除は、被害新梢や被害球果は早めに切除して焼却する。被害の多いときは、成虫の発生期からふ化幼虫期をねらって薬剤を散布する。
登録農薬:有機リン系殺虫剤(MEP乳剤) |
マツオオアブラムシ |
アカマツ、クロマツ、ゴヨウマツなどの新梢に群棲して吸汁加害する。このため針葉は黄変してすす病を併発し、新梢の伸長は阻害される。
幼虫は枝に寄生して、5~6月に新芽が伸長すると新梢へ移動して加害する。その後、10月ごろまで繁殖を繰り返し、11月ごろ針葉に黒色の卵を3~4粒ずつ産みつける。 |
防除は、発生の多いときは5~6月に薬剤を散布する。
登録農薬:ネオニコチノイド系殺虫剤(アセタミプリド水溶剤)
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樹幹
枝 |
マツノキクイムシ |
アカマツ、クロマツの他、外国産松の被圧木、雪害木、風倒木、その他の病虫害木などの樹皮下に穿孔し加害する。また成虫は5月ごろから新梢内部に穿孔するため、被害部は赤褐変して折れたり、落下する。
新成虫は5~6月に被害木から脱出する。この成虫は樹皮下に穿入することなく、新梢の下方に穿孔して上方に向けて孔道を作るが、ここでは繁殖しない。成虫は加害新梢内か松丸太、伐根などに穿孔して越冬する。
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防除は、発生源となる枯損木や被害新梢部を除去する。
駆除薬剤はマツノマダラカミキリと同じ。
登録農薬:有機リン系殺虫剤(MEP乳剤)
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ニトベキバチ |
アカマツ、クロマツなどの衰弱木の樹幹内部に成虫は産卵管を差し込んで産卵するため、傷口から樹脂(松ヤニ)が流出して白く固まり、キバチ被害の特有の症状を示す。
成虫は8~11月(最盛期9~10月)に直径3~8mmの円形の脱出孔をあける。雌成虫は産卵管を樹皮上の一点から2~3方向へ差し込む。このため、材表面に2~3個の傷穴として残る。産卵時に共生菌(担子菌)の胞子を植えつける。共生菌は材の組織を変質、軟化させる。 |
防除は、衰弱木に寄生するから健全な松林を育成することである。
登録農薬:なし
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マツモグリカイガラムシ |
アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツなどの幹や枝に寄生加害し、校枯れや枝が下垂して、樹勢を衰退させる。
加害部の表皮は粗雑になり、成長は阻害される。 |
防除は、発生が多いときは4月か9月のふ化幼虫期をねらって薬剤を散布する。
登録農薬:ピレスロイド系殺虫剤(アレスリン・マシン油エアゾル)
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