きこりの森林・林業の教科書



⑤日本の森林を支える組織って何?
1.日本の森林行政
2.林野庁の役割
2-1.本庁
2-2.管理局の役割
2-3.管理署・事務所・センター等の役割
2-4.森林管理事務所
3.森林総合研究所の役割
4.民有林管理
4-1.都道府県の役割
4-2.森林研究所の役割
5.市町村の役割
6.森林組合の役割
7.林研グループの役割
8.外郭団体の役割
9.大学(教育機関)
10.その他



1.林野庁の役割
 林野庁は農林水産省の2つの外局(林野庁、水産庁)のうちの一つである。

農林水産省 大臣官房
消費・安全局
食料産業局
生産局
経営局
農村振興局
政策統括官
農林水産技術会議
林野庁 本庁 林政部
森林整備部
国有林部
研修機関等 森林技術総合研修所
・林業機械化センター
地方支分部局等 ・森林管理局(7)- 森林管理署(98)支署(14)
・森林管理事務所(8)
・事務所(7)
・森林生態系保全センター(7)
・治山センター(1)総合治山事業所(1)
・森林技術・支援センター(7)
・森林放射性物質汚染対策センター(1)
・森林ふれあい推進センター(9)
水産庁 省略

2-1.本庁
林野庁は、森林の健全な育成を通じて、国土保全などの公益的機能を高めると同時に、木材の安定供給を図るため、国有林野事業と、民有林行政を行っている。

―国有林野事業―
・森林の持つ公益的機能(国土保全・水源涵養・自然環境の保全・保健機能等)を高める事 
・複層林や天然林など多様で健全な森林の育成
・木材の計画的・持続的供給
・レクリエーション利用等の施設整備、人と森林が触れ合う場の創造

―民有林行政他―
・民有林は、森林面積の2/3を占めている。この民有林を長期的視点に立った森林計画を作成するほか、以下の施策を実施している。
・造林による森林整備の推進
・林道の開設等を通じた森林整備の推進
・治山事業の推進
・保安林制度の運営
・森林保険制度の運営
・木材の需要安定と生産流通対策
・林産物の生産流通対策
・林業労働者への支援
・新規林業従事者対策
・森林組合の指導監督
・山村振興対策
・JICAを通じた国際協力
 等

分類 主な業務内容
林政部 林野庁の行政評価
各種制度(林業金融、林業税制)の企画
林業経済の動向・分析(需給見通しを含む)と年次報告書
林業統計全般
森林組合や林業事業体の育成(民有林)
民間の林業従事者の確保と育成(安全対策を含む)
特用林産物(生産・流通・消費)全般
木材産業(生産・流通・消費・技術開発・規格等)全般
住宅から大型建築物(規格・構法・技術開発)全般
木質バイオマス、木材のリサイクル全般
木材の消費支援(普及啓発活動)
木材の輸出入・関税・貿易の調査、諸外国の情報収集・分析
森林整備部 全国森林計画(面積・備蓄量・生長量の調査等)全般
地域森林計画・森林施業計画・市町村森林整備計画全般
流域管理システム(企画・指導)全般
森林保険制度(企画・調整・指導監査・普及等)全般
造林・林道・治山事業の工事技術の企画、設計基準、価格構成要領、施工技術・施工管理基準の作成等
林業に関する国際協力(FAO、ITTO、JICA等)
森林資源の活用・保全(花粉症対策を含む)全般
地球温暖化対策(調査研究・情報収集・分析)全般
山村の総合的な振興(企画・指導等)全般
国民参加の森づくりの推進
民有林事業(林道・造林・間伐・助成等)全般
林業育種(需給調整・生産・配布・母樹の指定等)全般
治山事業・保安林制度・林地開発許可(企画・調査・審査・指定・計画・指導監督等)全般
災害復旧全般
森林の調査研究(森林・林業・育種の研究情報)全般
森林・林業・林業機械の研究・開発・改良(技術開発の企画・指導・助成・普及・産官学連携等)全般
普及活動(林業普及指導員・後継者育成・環境教育・木等)全般
病虫害対策全般
森林火災対策全般
野生鳥獣保護対策全般
国有林野部 森林管理局(職員の任命・服務・研修・福利厚生等)全般
国有林野経営(基本計画・業務方針・資源調査・利用等)全般
・生物多様性保全施策、保護林、緑の回廊、自然資産
・森林警察
・造林・林道・貯木場・種苗・育種・病虫害駆除
・治山事業
・災害復旧
・林産物の安定供給(市場調査・需給調整・効率化・低コスト化・新規需要開発)
・森林技術(林業機械・無線通信を服務)の開発・指導・普及
・財産管理、境界確定・測量
・貸し付け、使用、分収林、共用林野

2-2.管理局の役割
 森林管理局は、林野庁の地方支部に当たる。47都道府県を7つの森林管理局で管轄している。主な業務は、国有林野の経営、民有林野の森林経営の指導と治山事業の実施、林野保全のための地すべり防止に関する事業がある。

森林管理局 所在地 管轄区域
北海道森林管理局 札幌市 北海道
東北森林管理局 秋田市 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県
関東森林管理局 前橋市 福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、静岡県
中部森林管理局 長野市 富山県、長野県、岐阜県、愛知県
近畿中国森林管理局 大阪市 石川県、福井県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県, 岡山県、広島県、山口県
四国森林管理局 高知市 徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州森林管理局 熊本市 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県


森林管理局の役割
分類 主な業務内容
総務企画部 総務課(広報、職員人事、文書管理、各種表彰、情報公開等に関する業務)
企画調整課(統計、監査、事務改善、災害対策、JICAの研修等に関する業務)
経理課(経費の採乳、採出、予算、決算、物品調達、管理等に関する業務)
計画保全部 計画課(虚空林野の森林計画などの策定、管内図などの作成、保護林、緑の回廊の設定、稀少野生生物の保護と森林施業の調整等に関する業務)
保全課(国有林野の活用、国有財産の管理・処分、官行造林、貸し付け・使用、森林警察、訴訟、境界、森林保護等に関する業務)
治山課(保安林、治山に関する業務)
森林整備部 森林整備課(国有林野等の造林・営林、林業種苗、分収林、土木事業の企画・調整、林道等の管理・補修、土木工事の設計等に関する業務)
資源活用課(国有林野等の林産物等の収穫・生産・販売、市況の調査、機械の技術指導等に関する業務)
技術普及課(技術開発に関する調査・研究、森林・林業に関する知識の普及、民有林への技術的支援に関する企画・調整・指導等に関する業務)

2-3.管理署・事務所・センター等の役割
 森林管理局の下部機関として、98の森林管理署と、14の支署があり、その下に842の森林管理事務所がある。
分類 主な業務内容
総務グループ 総務(公文書管理、職員の給与)
経理(予算、決算、会計、流木等産物の処分に係る契約、物品の管理)
管理(国有林野及ぶ官行造林地の貸し付け、使用、国有林野及び土地の売り払い、森林警察、国有財産の管理)
業務グループ 経営(国有林野及び官行造林地の産物の収穫調査、立木評価、測量及び境界の保全、国有林野の管理経営計画などの業務)
森林ふれあい(森林・林業に関する知識の普及、森林保護及びレクリエーションの森等、国有林と国民のふれあいに関する業務)
森林育成(国有林野及び官行造林地の造林、保育などの森林育成、林業種苗、森林病害虫等に関する業務)
土木(国有林林道、作業道の開設に関する調査、設計、管理、監督、維持修繕に関する業務)
資源活用(国有林野及び官行造林地の産物及び製品の輸送、処分に関する業務)
治山グループ 国有林野及び官行造林地における谷止め工、山腹工などの治山を目的とする工事の調査、設計、管理、監督及び保安林に関する業務
森林技術指導官 流域システム、市町村が行う森林・林業行政への技術的支援に関する業務
地域林政調査官 県等との連絡調整、森林整備事業の品質確保、民有林への技術普及等に関する業務
地域技術官 経営計画の編成に関する資料収集等に関する業務

2-4.森林管理事務所の役割
 森林管理事務所は、地域に密着しており、国民の国有林に対する要望に応える形で、最近は、国有林に対する普及・啓発活動から、より森林を身近に感じて貰う為の森林環境教育を重視している。
分類 主な業務内容
国有林管理 保全管理(森林状況、事業実施状況把握)
林道管理
水質管理
境界管理
各種調査 経営(収穫調査、跡地検査、支障木調査)
森林育成(地拵え、植え付け、下刈り等)
貸付地調査
崩壊地(崩壊地の発見、調査、報告)
林道(決壊などの発見、調査、報告)
情報収集 地域住民(国有林野の崩壊地発生など異常に関する事項)
自治体(林道、地域のイベント、林政関係情報収集と提供)
学校関係(フィールド提供、森林教室の開催、森林環境教育の実施とサポート)

また、各森林管理局には、それぞれ森林技術支援センターを持っており、地域の国有林経営の現場に必要な技術開発を行っている。

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