きこりの森林・林業の教科書



①日本ってどんな国?

火山・地震について 地質・土壌について 植生について 動物について 日本人について

地質について
土壌について
土層の種類(農業版)
土層の種類(森林版)

地質について
 日本列島は、大陸と海洋の境界付近に位置していることで、長期間にわたり、海洋プレートン沈み込みの影響を受けています。海洋プレートは、海洋地殻と、その下にあるマントルの一部から構成されており、海嶺から噴出した玄武岩溶岩の上に深海堆積物や海山を載せています。この海洋プレートが大陸のプレートの下に潜り込むとき、海溝に溜まった土砂とともに大陸側に押しつけられ、剥ぎ取られます。
 これを、付加作用と良い、付加体として剥ぎ取られた地質体が生まれます。この地質体が地下深く潜り込むことで、高い圧力を受け、変成岩になります。同時に、マグマを発生させ、火山活動と深成岩の貫入を伴います。ただし、東北日本の太平洋沖の日本海溝では、現在付加体はほとんど形成されていません。まだまだ調査研究が求められている分野でもあります。
 この様なことを繰り返し行われていたことで、日本列島が成り立っていきます。
 一般的には、

・日本列島の基盤は、大陸側ほど古く、太平洋側ほど新しい構造
・いくつもの時代の付加体が集積している。一部は、再配置されている。
・マグマ活動を通じて、様々な時代の火成岩が残っている。
・一定の期間で作られる堆積岩、変成岩は、帯状に連続して分布している。

 と言われています。

日本列島の構造区分


出典:地質調査総合センター





土壌について

(1)土壌の作り方
 土壌の素になる物を母材といい、岩石の場合は、「母岩」となります。この母材(物理的な浸食風化)に生物が作用することで、さらに生物の遺体が腐蝕するなどの生物作用を通じて土壌が作られます。
 別の言い方を言えば、土壌の生成には、物理的な浸食風化と動植物が関与して土壌になります。

堆積様式 概要
残積(土) 変成岩、固結火成岩、非固結堆積岩、第三紀層、又は古生層、中生層などの固結堆積岩が運搬されず、その場で土壌化し、堆積した。
洪積世堆積(土) 洪積世に堆積したと考えられる地層で、時期や位置で砂質から粘土質まで変化するが、母材が混合しないため均一の粒径の場合が多い。
火山灰が水の作用で再堆積した場合でも水の作用が少ない場合は風積として扱う。
崩積(土) 風化した母材が、地震や土砂崩れで、崩壊して斜面に積もって堆積したもの。
各種の母材が混合しており粒径は不均一となっている。
水積(土) 沖積世に水により運搬堆積したもの。
水の力が河、湖、海と明らかな場合は河成、湖成、海成堆積と区分します。
海成は砂質土、湖成は壌質土、粘質土が多い。
風積(土) 風の力で運搬堆積したもので、火山性のものと非火山性のものがある。
火山性のものは非固結火成岩(主に火山灰)で水により再堆積したものを除く。主に黒ボク、多湿黒ボク土などがある。
非火山性では、砂土が多く、主に砂丘未熟土となります。
集積(土) 低温、過湿による酸素不足等で植物遺体が分解されず堆積したもので、泥炭土、黒泥土等がある。
泥炭土は植物遺体が肉眼的に判定出来る。
黒泥土は判別できないものがある。
泥炭土は更に、高位、中間、低位と分けられ主な堆積物は以下のものが多い。
高位泥炭:ミズゴケ、ツルコケモモ類
中間泥炭:ヌマガヤ、エゾマツ類
低位泥炭:ヨシ、ハンノキ、ヤチダモ類
 土壌の生成過程

※山地(母岩)→礫→砂利→砂→細砂→粘土へと風化

 土壌生成過程




(2)土壌母材
 土壌母材の生成堆積年代を表し、土壌調査では、古生層土壌、中生層土壌、第三紀層土壌、第四期洪積層土壌、第四紀沖積層土壌に区分される。


 第三紀層の土壌とは、地質年代の第三紀に堆積した土壌を母材として更に生成した土層のことを言います。

土層名 土壌の特徴
古生層土壌 古生代に堆積した層で、母材は礫岩、砂岩、泥岩等、固結堆積岩の互層。
上層の粒径により性質が異なる。傾斜地に多く分布し、浸食防止が必要。
中生層土壌 中生代に堆積した層で三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の層を含む。
母材は、礫岩、砂岩、泥岩の互層。
第三紀層土壌 第三紀に堆積した層で、礫岩、砂岩、泥岩の互層。
母材が風化したものは有機物含量は少なく保水力は低い。
第四紀洪積土 洪積世に堆積した土で、礫層、砂層、粘土層等の互層。
一般に砂層が多い。母材は非固結堆積岩で、堆積は洪積世堆積である。
第四紀沖積土 沖積世に水に運ばれ堆積した母材が土になったもので、母材は非固結堆積岩。
堆積様式は水積である。
河成沖積土は壌質から粘質で多くは水田となっている。
湖成沖積土は泥炭や黒泥土が存在する。
海成沖積土は海岸平野部に堆積し、低地は水田、高いところは畑に利用される。

土層の種類(農業版)
名称 英語 特徴 農業上の名称
O層 Organic 落葉などの堆積層で、林床に有り、草地や耕地では見られない。 表土
A層 Surface 土壌断面の最上部で、表層が埋没した層。
一般に作土であり、生産活動で変化する。
表層の腐植供給層をA1層
溶脱層をA2層
作土
B層 Subsoil A層からの溶脱物質の集積層 下層土
心土
C層 Substratum 土壌構造はほとんど無い。 基層
R層 Bedrock 岩石層
岩盤
これ以外
G層:グレイ反応が出る層
L層:湖に沈殿した鉱物や水生生物由来の有機物の層
土層の種類(森林版)
A0層 粗腐植層 断面の最表層で、落葉の新鮮な物から一部分解した物が地表に堆積して出来た層 L層 新鮮な落葉、落枝、その他新しい植物遺体の堆積層。
原形がそのまま保たれている。
F層 落葉落枝、小動物や微生物によって分解されつつある中間過程の物。
まだ多少、原形が止まっており、植物組織を肉眼で見ることが出来る。
H層 F層よりさらに分解が進み、肉眼では落葉の分解物であることが認められず、無定形、二次的に特有の形を持った有機物層。
A層 表層 褐色森林土では、鉱物質土層の最上層になる。有機物が最も多い層。
気候・食性・生物などの環境の影響を最も強く影響を受けている層。
土中の微生物や植物根などが最も盛んに活動している層。
A1層
A2層
B層 下層 A層の下方にあって、A層より環境の影響の受け方が少ない層。
表層と母材層の中間的な性質を持っており、有機物による着色が少なく、母材の色が強く表れており、褐色をしている。土壌の限界は、B層の下限。
B1層
B2層
C層 基層 B層の下部にあたる。土壌生成作用の影響を受けていない土壌の母材の層。
土壌の範囲外となる。ただし、最上部や亀裂に沿って絶えず土壌化が進んでいる。
C層の色は、母材の色を示し、堅密であることが多く、構造がない。
C1層
C2層
G層 グライ層 常時あるいは長期期間、過湿になるために出来る層。
過湿のため、無機質の還元過程が進み、帯灰色、帯灰青色、汚緑色の色調、錆色・黒色・薄紫色の斑紋、粘着性などの性質を持つ。

地下水の影響と同時に、A層、B層の生成分化が起きている場合は、A-G層、B-G層となる。
M層 菌糸網層 菌根や菌糸の遺体が層になっている層
※土壌の分化に関係なく、堆積時代が異なっているために出来た層は、上から、Ⅰ層、Ⅱ層となる。
 土壌生成が行われ相違が発達している場合は、上部の土層をⅠA層、ⅠB層となる。
 埋没土は、ⅡA層、ⅡB層、ⅡC層となる。


●層位の厚さ・深さ
 隠そうが整然と平行に配列している場合は、一方の厚さを測れば良いが、厚くなったり、浅くなっている不整の場合は、平均値で表し、厚さの最大、最小値も記載する。
 土壌の深さは、未熟な土壌では浅く、成熟した土壌では深くなる。しかし、浸食過程にある様な地形上の残積土では、浅く、常に上方から堆積してくるような地形にある崩積土では、非常に深くなる。
 また、森林の育成の過程で、樹木の根が張るため、良好な条件の土層は深くなり、悪い条件では土層が浅くなる。

●境界線の明瞭度
①明瞭(境界部の幅が0~3cm)
②判然(境界部の幅が3~5cm)
③漸移(境界部の幅が5cm以上で明瞭な境界が認められないもの)

●境界線の形
①均等
②不均等な移行型(舌状、波状、ポケット状、浸潤状)


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