きこりの森林・林業の教科書

森林調査 測量・計測 資源量調査 動物調査 利用動態調査
測量とは
航空レーザ計測
哺乳類調査
鳥類調査
昆虫調査
試験計画と取りまとめ


試験計画と取りまとめ

1.試験計画
(1)試験対象と試験目的
 何を試験するかを明確にすること。例えば、生存率調査、樹高成長調査等
 何を目的としての試験であるかを明確にすること。例えば、植え付け時期による成長の差の有無、冠水による生存率の差の有無。
(2)ラテン方格法(Latain Square)とその応用
 ラテン方格法とは:
 農業の圃場試験では、肥沃度の勾配が圃場の一方の辺に平行に走ることが多い。時には、両辺に平行に2種類の勾配があることもあり、優勢な勾配がどちらに走っているか不明なこともある。この様な場合に有用な試験計画が、ラテン方格となる。4処理A,B,C,Dがあるときの配置は、次の通りとなる。

  

この方格の行と列は、圃場の両辺に平行とする。各処理はどの行にもどの列にもそれぞれ1つずつ現れるが、これがラテン報告の基本的な性質である。

砂丘地の調査プロットの設置方法
 砂丘地ではプロットを極小さくしないとラテン方格を設定することは不可能であるが、プロットを小さくすると、その中に入る標本が少なくなりすぎ、試験の目的を達成することが出来なくなる場合が増える。
 このため、2行8列にする。

(3)試験地の造成
 ラテン方格によっても試験地全体は一様ではない。できる限り一様になるように工夫すること。各調査プロット(小区)の全ての資料を使用するのではなく緩衝部分は捨てる必要あり。
(4)繰り返し
 繰り返しの必要性

 コントロールの必要性
2.計測
(1)標本
 標本の抽出実施上の注意事項
 標本抽出法
 ①悉皆調査
 ②標準地調査
 ③系統抽出
 ④ランダムサンプリング

(2)資料数
 資料数は多い方が良いが、多すぎると調査が大変になる。
 生存率の調査には少なくとも20個以上の資料を必要とする。
 樹高調査の場合では、少なくとも9個の資料がほしい。
(3)計測法
 生存率の調査では、生存しているか否かであるが、苗木の根元直径では、ミリ単位、苗高はセンチ単位、苗木の重さはグラム単位となる。
 高い樹木の樹高ではしかるべき括約(Rounding off、四捨五入)を行うことが望ましい。

3.取りまとめ
(1)平均値の計算
 例:平均生存率、平均樹高
(2)平均値の差の検定
 2つの植栽方法(または異なる土壌条件)による一年後における生存率の差の有無(等分散を仮定にする方法)
(3)一次回帰
-単相間の事例-
 植え付けた時の樹高(x)と1成長期間の樹高成長(y)
 地下水位の高さ(x)とポプラの樹高生長(y)

-重相関回帰-
 Y=a+bX1+cX2+dX3
 ここでは、Y:地上の材積
       X:樹高
       X:根元径
       X:平均樹間距離
 説明因子が2個以上の場合。説明因子が1個より増えることのより、一般に回帰直線の信頼度は増加するが、必ずしも増加しない場合がある。上の式の例ではXの作用する距離はある一定の距離からは変数として作用しなくなる。
 例:内部相関の存在、係数の異常
(4)異常値の取り扱い
 計測ミス
 予測し得ない条件による異常
  補う必要がある場合は最小二乗法を使う。
造林試験調査の実例

1.試験地:×××

2.造林試験の必要性
 XXXは、乾燥・高温の山間地で○○○に沿って乾燥した熱風が吹き、造林が困難な土地である。また、この地域は水土流出が激しく、早急な防止対策が望まれている。従って、XXXにおける従来の造林方法、新たな造林技術開発について、造林試験を行う必要がある。

3.造林試験の目的
 乾燥に耐える造林とするため、①地拵え、②植栽樹種と密度、③植え穴、④苗木の処理、⑤有機質の施用等の試験を行い、この地域で可能な造林方法を造林試験におり確立する。

4.造林試験の指針
 試験結果の信頼性や比較有効性等を考慮し、科学的手法を用い、重複試験区、対象試験区などを設定して行うべきである。しかし、今回の試験においては、現地でこれまで行われていた造林事業の成果を十分に活用し、不足している技術の完成にある。しかも、実施期間は23ヵ月と短く、面積も限定されているので、重複試験区、対象試験区などの設定は除外する。

5.試験対象地域の制限的自然条件
(1)気象
 2団地とも、気象条件は同じである。
(2)土壌
 土壌条件は2団地の間に若干の差がある。岩の露出している箇所、土層の深さに若干の差異がある。
(3)植生
 植生はほとんど同一であるが、若干の差がある。
(4)傾斜、方位
 2団地とも南向き斜面であり、傾斜度はほぼ同じである。

6.試験地選定上の留意事項
 試験地の選定に当たっては次の事項に留意した。
 ①対象地計の山腹を優先し、換気に発生する熱風にさらされやすい斜面も対象地になるようにした。
 ②土壌は、対象地域だけでなく、近辺の同類地形の箇所で最も一般的な土壌とした。
 ③試験中の観測・調査に便利であるように配慮した。
 ④土地の長期使用が可能な土地とした。

7.造林試験の基本構法
(1)造林試験地の決定及び立地条件調査
 ①試験地選定上の留意事項に配慮し、2つの小流域に2個ずつの調査候補地を地元林業局から推薦してもらい、現地調査の結果、それぞれ1団地を試験地に決定した。
 ②自然、社会経済状況、造林経験、研究成果など既存の資料と収集と試験地の土壌調査・植生サンプリング調査を行い、その調査結果を整理し、設計と試験最終報告書に反映させる。

(2)立地タイプと造林樹種の選定
 水土流出抑制などの保全効果を発揮させるため、低木と高木との組み合わせとした。
 造林樹種は、最も重要であり、保全林としての効果を最優先し、植栽後の活着率及び 保全効果を優先し、その上で将来の利用にも配慮し、樹種の選定を行った。選定された樹種は、α、β、εである。

(3)造林方法
 造林方法については、①整地・地拵え、②苗木、③植生密度、④植栽時期、⑤植栽作業、⑥保育に十分な配慮が必要である。このため、この造林試験では、それぞれの項目につき、次の通り配慮した。
①整地・地拵え
 この地域における造林の困難性は、半年に及ぶ乾燥と、夏期の集中降雨、及び風による土壌浸食のため、土壌劣化がある。特に土壌が保水力と通気性に乏しいため、土壌の改良が植栽木の活着や成長に大きな影響を及ぼす。
 全斜面に階段状のテラスを設け、植え穴を大きくし、植栽することが苗木の活着と初期成長の面では望ましいが、土壌の流出を考慮し、10m間隔の階段を作り、階段と階段の間は壺刈りし、耕起した。

②苗木
 基本的にポット苗を用いた植樹造林とする。現地指揮の100日苗であるため、硬化処理が為されていない可能性があるため、今回は山出し前に冠水を抑え葉の量を調整する処置を行った。

③植栽密度
 早期に樹冠の鬱閉を測るため、及び下刈り回数を減少させるため、2m×1mの植栽密度とした。この地域の適正密度は、この半分以下と考えられるため、成林後は除伐することで対応できる。

④植栽時期
 土壌が十分湿る降雨があった(1ヵ月の積算降雨が100ミリに達した時)後に、植栽する。植え穴の周囲に実が溜まるようにくぼみを付け、植え付けも深植えとした。

⑤植栽作業
 植え穴は、60cm×60cm×40cmとし、植栽1ヵ月前に、堆肥または化学肥料を入れて埋め戻しておく。
 植栽時に、苗木をポットから出す際は、根の周りの土を崩さないように指導する。植栽後の踏み固めも十分行えるように指導する。特に特定の一人の作業に問題があると、試験結果は大きなバイアスを持つことになるので、植栽時には全員が正しい方法で植栽作業を行えるよう監督する。
 肥料の近くに根が行くと、肥料焼けを起こすことがあるため、注意すること。

⑥保育
 下刈り、中耕を実施すること。

(4)補植
 試験地に原則として補植は行わない。

(5)試験地管理
 試験期間中、家畜や関係者以外の立ち入りを防ぐため、常時1名の監視人をそれぞれの試験地に配置する。

8.モニタリング
 何カ所かプロットを設定し、調査する。
 プロットは同一条件になるよう、下刈りや施肥を行う場合は、他のプロットと差が生まれないように注意する。






きこりの森林・林業の教科書

By きこりのホームページ