きこりの森林・林業の教科書
⑫森林を守ろう

概要 病虫害と対策 獣害 気象害 森林火災 竹林対策 森林保険制度
基本情報 シカ ウサギ ネズミ サル イノシシ カワウ クマ その他 マニュアル メモ
シカ対策
【シカ被害】
 人工林では、食害によりスギ、ヒノキ苗木の成長が阻害され、成林しない。また、天然林では、樹皮を剥離し、環状剥離を起こして枯死させる。
 林業的には、植栽木が駄目になり、再植林を行う羽目になる。まt、防護柵やヘキサチューブを用いて、シカの害を防ぐことは可能であるが、コスト増となり、森林経営を圧迫させる。
 生態的には、忌避する植物のみが残り、多様な生態系が単純な生態系になる。その結果、下層植生が失われう事で、土砂流亡が発生しやすくなり、土砂災害を誘発する。

【シカの特性】
 シカは、反芻という消化作用をもつ草食動物で、草や木の芽、は、茎、花、蕾等、幹と根以外の植物の部分を食べる。有毒植物であるアセビを除き、ほとんど食する。また、植物を食べ尽くす、積雪で草が食べれなくなると、樹皮を剥いで形成層を食べ始める。
 奈良公園が、アセビで占有されてるのは、シカが食さないためである。
 シカが増える理由は、一夫多妻であるため、雌鹿の分だけ毎年子供が増える、個数が増えることになる。このため、雄鹿を駆除しても、他の雄鹿が残れば、一夫超妻になるため、雌鹿の駆除が必要となる。
 2歳で初産を迎え、1年に1頭出産します。平均寿命が6から8年のため、平均7頭出産することになる。11~5月にかけて妊娠期になるため、栄養が必要となるため、この時期は森林に被害が多く発生する。
 ニホンジカは体長が70~135cmであるが、ジャンプ力は150cm程度の障害物を飛び越えることができる。
 一般的に行動範囲は、1~2kmと言われているが、密度が高くなると、餌を求めて、密度の低い場所に移動する。
【防除方法】

忌避剤の散布 ツリーシェルター シカ柵
方法 苗木に忌避剤を散布する。 苗木を1本づつ保護資材で覆う。 新植地の周りを柵で囲う。
食害防止効果 シカの生息密度は高いと防げない 正しく設置すればほぼ確実に防止可能
ただし、冬の餌のない時期に体当たりされ壊される可能性あり
正しく設置すればほぼ確実に防止可能
コスト 比較的安い
労力は比較的少ない
施工費用が高い
設置に多くの労力が必要
施工費用は比較的安い
1haでは400m、4haでは、800mとなる。
設置に多くの労力が必要
メンテナンス 何度も必要 必要 必要
台風、積雪への耐性 なし 破損の可能性あり
積雪と相性が悪く、雪起こしが必要
破損の可能性あり
ウサギ・ネズミの食害防止 防止可能な薬剤はある 防止可能 防止できない場合がある。
1ha当りの施工費用 年2回散布&3~5年
40~80万円
170~210万円 400m/ha
60~75万円
注意事項 苗木の梢端が食害にあわない高さになるまで続ける必要がある。 苗木の樹形異常を引き起こす可能性がある。 斜面から飛び越えられないように高さ2mは必要。また、高さのある切り株や岩から十分離れて設置する必要がある。
プラスチック筒は徒長傾向になる。設置の際には、梢端を巻き込みやすい 樹脂繊維ネットは、金属製に比べ軽量で運びやすいが、耐用年数は短く、噛みきられやすい。
プラスチックネット板は、網目のサイズが大きいと樹形異常を引き起こしやすい 金属ネットは、重量があるため、山地斜面での設置は労力がかかる。
積雪で一度曲がると修復が困難。
ネット布は、網目のサイズが大きいと樹形異常を引き起こしやすい 30度を超す急傾斜地では崩壊して破損、倒壊する可能性が高い。







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