きこりの森林・林業の教科書

目次

④生活するための森林って何?
 林業経営の話、里山の話
  昔の利用
  里山の役割
  木材生産の今と昔 日本の林業の問題
  薪炭林経営だった頃の話
  バイオマスエネルギーの話
  特用林産物の話
  林業経済史


 里山には、①木材生産、林産物栽培等の資源生産、②水源涵養・水質浄化、③土砂流出・崩壊防止、④野生動物の生息・生育場所、⑤都市微気候の緩和、⑥大気浄化、⑦騒音などの緩衝緑地、⑧避難空間、⑨地元文化の継承の場、⑩レクリエーション・交流の場、⑪環境学習の場等の役割を持っています。
役割 機能 管理方法
資源生産
(木材生産)
(林産物栽培)
昭和30年代までは、薪炭林、農用林と利用。 樹林地域として保存していくこと
目的に応じた選択的な樹種の転換をすること
多様な樹種を利用する仕組み(工芸、工房)を育てること
水源涵養
水質浄化
緑のダムとしての水源涵養機能
雨水が土壌を浸透することによる水質の浄化
森林密度を適正に管理(除伐・間伐)し、樹木の成長を促進すること
複相林を維持し、林床植生の発達を図ること
森林の表土を保全すること
河川やため池の岸辺の植生を保全すること
土砂流出
崩壊防止
斜面に成立している樹林・樹木等の根が表土を安定させることにより、土砂の流出・崩壊の防止を果たします。 森林密度を適正に管理(除伐・間伐)すること
樹木更新による森林(樹木)の活性化を図ること
多種・異齢の森林を維持すること
野生生物の生息・生育環境 里山の樹林、草地、水辺等の自然環境は、野生生物の生息・生育環境となっています。人為的な利用によって、木の年齢構成がパッチワーク上になっていることで、多様な生き物が生息することが可能となる。 森林密度を適正に管理(除伐・間伐)し、多様な密度空間を形成すること
樹木更新による森林の活性化を図ること
定期的及び段階的な伐採、落葉かき等を実施すること
森林に隣接する草地や農用地の保全もあわせて図ること
都市微気候の緩和 都市のヒートアイランド現象に対し、都市近郊林は、緩和機能を持っています。 大規模な樹林帯の存続及び連続した樹林帯の形成を図ること
樹林とともに水辺環境を積極的に維持、保全すること
大気浄化 塵挨や汚染物質の吸収、二酸化炭素の吸収・固定 一定面積、一定幅員以上の樹林地帯を確保して置くこと
緩衝緑地 樹林や地形による防音・防災・防塵等の緩衝緑地(グリーンベルト) 一定面積、一定幅員以上の樹林地帯を確保して置くこと
騒音、煤塵を発生させる施設の周辺に確保して置くこと
避難空間 災害時の避難空間 一定面積、一定幅員以上の樹林地帯を確保して置くこと
日常的に訪れ、親しめる空間として整備して置くこと
文化の継承の場 四季折々の変化が、日本人の感性を育み、ユニークな日本文化を形成してきました。
生活の場として、利用と知恵(食糧、炭、肥料、生活道具の材料、薬草等)が生まれた場所です。
落葉広葉樹林を主体とした樹林地を維持して置くこと
散策路等を整備し、親しみやすくすること
風景として視認できる場所にあること
低木の花木類の開花条件を維持するための照度管理に努めること
レクリエーション・交流の場 ストレス解消の場
イベントを通じた交流の場
案内人、インストラクターを確保、養成すること
適度な広場を確保し、訪間者同志の交流の場とすること
適切な案内施設や安全対策を図ること
利便施設(トイレ、駐車場等)を確保すること
野鳥や小動物等の生息を阻害しない、適切な観察経路や施設を整備すること
環境学習の場 自然と触れ合う場 指導者を確保すること(高齢者の知識、技術の活用)
多様な自然環境を形成させておくこと(植生等管理)
安全に関する適切な情報提供を行うこと(危険場所、危険動植物情報等)
利便施設(トイレ、駐車場等)を確保すること
学習施設(植物解説板等)を設置すること
適切なガイドブックを作成すること






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