きこりの森林・林業の教科書

⑦森林・林業関係を勉強・就職するためには?

1.高等学校
1-1.カリキュラム
1-2.取得できる公的資格
1-3.就職先
2.専門学校(大学校)
2-1.カリキュラム
2-2.取得できる公的資格
2-3.就職先
3.大学
3-1.カリキュラム
3-2.取得できる公的資格
3-3.就職先
4.資格の内容
5.学校リスト

日本では、小学校(6年間)と中学校(3年間)の計9年間が義務教育となっており、国民は必ず義務教育を受けなければならない。一般的には中学卒業後、高校(3年間)に進学し、その後、就職、専門学校、大学等に進路を進める。森林・林業分野における教育機関は、高等学校、専門学校(大学校)、大学の3種類に分類される。高等学校と専門学校(大学校)は、現場における即戦力の担い手を、大学は持続可能な社会を達成できるような研究や調査を通じて、課題解決の出来る人材を育成している。


学校の配置図


1.高等学校
 47都道府県中、41都道府県に、林業についての専門技術や知識を習得するために林業系の学科が併置されている79の高等学校があり、森林・林業分野の担い手を育成している。全ては、公立学校になっており、農業・畜産部門、食品加工部門、機械部門、電気部門など、他部門と一緒に運営されている。各校とも恵まれた自然環境を活用し、自然と人間生活の調和を体験的に学べる場となっている。学生は、森林経営、木材流通について理解するとともに、森林の多面的機能についても学び、森林の管理や整備を行う技術者、木材を加工する技術者、キノコ等林産物を生産する技術者になるための知識や技術を習得する。

1-1.カリキュラム
下記のプログラムが基本になっている。なお、学校によっては、園芸や都市緑化等、地域にニーズに合わせたリキュラムもある。

森林科学 森林の役割や生態を理解し、森林の保全を利用を図る能力を身につける。
学校林や地域の森林等の具体的な事例を通じて、森林や森林管理の現状と課題について学ぶ。
地域の自然条件に適した管理手法を学ぶ。
森林造成を通じた地域社会が納得できる環境作り(治山)を学ぶ。
森林生産の低コスト作業システム(路網・高性能機械)について学ぶ。
森林経営 森林環境の保全を重視他森林経営のあり方を学ぶ
森林計画制度を学ぶ
森林の状況を判断するための測定方法について学ぶ
森林の機能についての評価を学ぶ。
歴史的変遷を踏まえて森林政策を学ぶ
総合実習 演習林実習を通じて、専門力、協調力、課題解決能力の向上、山での作業の安全性について学ぶ。
測量 測定を理解し、基本的な知識、考え方、計算方法等を修得する。
コンパス測量で角測量、水準測量を行う。
トラバース測量を行う。
林道施工のための応用測量を通じて設計図書(平面図、縦断面図、横断面図、各種計算簿)を作成する。
農業と環境 作物栽培の基礎と実践的な技術、知識を身につける。
農林業と環境問題との関わりを学び、農林業における問題点を理解する。
グリーンライフ 農村、山村の持つ多様な機能や魅力を発見し、人々の交流を促す新た小夜か活動やビジネス、ライフスタイルの創造について学ぶ。
心身共に健康で豊かな暮らしをする方法や、環境保全について理解を深める。
課題研究 自ら森林に関する課題を設定し、その課題の解決を図るため、学習を通じた専門知識と技術を関連付け、問題を解決する。
林産物利用 林産物の加工、利用に必要な知識と技術を習得する。
林産物の特性を理解する。
農業情報処理 情報処理に関する知識と技術を習得する。
通信ネットワークについて学ぶ

1-2.取得できる公的資格
 一般的な高等学校とは異なり、卒業後、現場の実践となるため、様々な資格取得が出来るようになっている。これらの資格が無ければ、従事できない仕事が多い。

分野 資格
森林・林業関係 チェーンソー取扱業務 
刈り払い機取扱業務
造園工事3級
造園技能士(2級、3級)
測量上級
測量士補
小型移動式クレーン運転技能
2級土木施工管理技士
2級造園施工管理技士
簡易架線集材装置
林産業関係 家具製作3級
建築大工3級
CAD検定
危険物取扱者(甲、乙、丙)
ボイラー技士
毒劇物取扱者
小型フォークリフト
小型車両系建設機械
ガス溶接技能講習
アーク溶接
その他 日本農業技術検定3級
ビジネス文書実務検定
表計算検定
生物分類技能検定

1-3.就職先
 林業分野の公務員、森林組合、林業事業体(造林関係、製材関係、製紙関係、林産品関係等)の他、大学の森林分野に進学している。就職に当たっては、都道府県の地方振興局が事業体と高校生との間を取り持つ交流会を実施しており、就職を支援している。

2.専門学校(大学校)
 26の専門学校があり、私立学校の5つを除いて公立ないしは行政の支援で運営された専門学校となっている。特に、多くの公立高校は地域の林業の後継者不足という課題を解決するために、現場での即戦力となる人材育成を目的として設立されている経緯がある。このため、公立の専門学校の方がより実践的学習内容となっている。期間は、1~2年となっており、実習により力を入れている。実習場所の多くは、都道府県の林業部門が持っている研修所や研究機関に間借りしていることが多い。公立の場合は、県民のみ受講できる学校と、全国から募集を行う等、その県の状況によって対応が異なっている。全国から募集する場合は、必要性があるが県内からの人員確保が難しい事、人が集まることで、地域経済の活性化、人材確保として地元への就職等の理由である。なお、授業料が無料の場合もある。無料の県の場合は、卒業後、その県内の森林組合、林業会社に就職することが前提となっている。

2-1.カリキュラム
 高校と異なり、専門学校では資格を取得するための講義が設定されている。なお、一部には、下記の技能を高める研修の他、課題解決能力を高めるため、一般教養を取り入れているところも出始めている。
高校や大学と異なり、卒業後、現場での即戦力なるための内容となっている。このため、資格取得のための研修が多くなっている。
座学 一般教養、林業経営、造林、森林保護、森林機能保全、林業機械、木材加工、特用林産、課題研究、ICT等
資格取得 赤十字救急法救命員、林業用種苗生産事業者、造林作業指揮者、刈払機取扱作業者、伐木・チェーンソー作業従事者、伐木等機械運転、玉掛技能、機械集材装置運転、走行集材機械運転、簡易架線集材装置運転、小型移動式クレーン運転、不整地運搬車運転、はい作業従事者、車両系建設機械運転、狩猟免許(わな猟)、鳥獣被害対策マイスター
実習 測量・森林調査、苗木生産、造林・育林、素材生産、森林作業道開設、木材加工、試験研究、インターンシップ

2-2.取得できる公的資格
 造林に特化しており、高校と異なり、木材加工等の林産関係の資格は無い。なお、林産関係は、都道府県や市町村が運営する職業能力開発施設が担っている。職業能力開発施設は就業支援であるため、学費は無料となっている。
分野 資格
森林・林業関係 林業用種苗生産事業者
造林作業指揮者
刈払機取扱作業者
伐木・チェーンソー作業従事者
伐木等機械運転
玉掛技能
機械集材装置運転
走行集材機械運転
簡易架線集材装置運転
小型移動式クレーン運転
不整地運搬車運転
はい作業従事者
車両系建設機械運転
狩猟免許(わな猟)
鳥獣被害対策マイスター
その他 赤十字救急法救命員

2-3.就職先
 林業分野の公務員、森林組合、林業事業体(造林関係、製材関係、製紙関係、林産品関係等)の他、大学の森林分野に進学している。就職に当たっては、都道府県の地方振興局が事業体と高校生との間を取り持つ交流会を実施しており、就職を支援している。

3.大学
 全国に、29大学(国立24校、公立3校、私立2校)がある。通常は、4年制である。大学では、森林の様々な機能を保護・再生することで、地域の環境、森林資源および地球環境の保全を図り、持続的に生産、利用する技術や理論を学び、現場で役立つ調査・研修手法を習得する。これらを通じて、自然と調和した生産基盤作り、農山村の振興、生活環境の維持と創出に貢献出来る柔軟な判断力を養い、視野の広い人材を育成している。

3-1.カリキュラム
 専門分野のみならず、一般教養にも力を入れている。主な内容は以下の通りである。なお、一部の専門学校(大学校)では、課題解決能力を高めるため、一般教養を取り入れているところも出始めている。

一般教養 自然地理学、西洋哲学、言語学、文化人類学、心理学、造形論、政治学、経済学、社会福祉学、教育社会学、健康科学、基礎数学、物理学、化学、生物学、地学、統計学、情報処理演習等
専門科目 測量学、地理情報システム学、樹木学、森林生態学、森林保護学、森林政策学、水文・気象学、森林計測学、森林経済学、木材化学、砂防学、木材工学、森林バイオマス科学、森林計画学、造林学、構造力学、森林利用学等
実習 測量学実習、森林計測学実習、木本植物組織学実験、木材化学実験、植生調査実習、森林計画学実習、森林土木学実習、樹木学実習、造林実習、森林管理実習等

3-2.取得できる公的資格
 大学4年間で修得する内容によって、以下の資格が取得ないしは受験資格を得ることが出来る。

種類 資格
得られる資格 学士(応用生物科学)
高等学校教諭一種(理科・農業)免許状
中学校教諭一種免許状(理科)
博物館学芸員
測量士補
樹木医補
森林情報士2級
自然再生士補
受験資格
試験の一部免除
受験資格の短縮 環境再生医(初級)受験資格
林業普及指導員受験資格
エコサーバー
生物分類技能検定
森林インストラクター
技術士補
2級ビオトープ施工管理士資格
造園施工管理技士(2級および1級)
二級木造建築士
甲種危険物取扱者受験資格

3-3.就職先
 大学院に進学するほか、森林・林業・林産業分野の国家公務員、地方公務員、林業事業体(造林関係、製材関係、製紙関係、林産品関係、住宅関係、化学工業等)、生態・環境系NPO等を含め幅広い分野に就職している。
4.資格の内容
 日本では、危険性が伴う仕事に対し、有資格者のみが出来る仕組みとなっている。資格を取得するためには、講習会への参加、自己研鑽等が求められている。
赤十字救急法救命員 急病の手当やけがの手当等に関する資格
林業用種苗生産事業者 林業用種子や苗木の生産等を行うための資格
造林作業指揮者 植栽等の造林作業を指揮するための資格
刈払機取扱作業者 刈払機で作業するための資格
伐木・チェーンソー作業従事者 チェーンソーで作業するための資格
伐木等機械運転 高性能林業機械(ハーベスタ、プロセッサ等)を操作するための資格
玉掛技能 フック付きのロープで、木材などの荷を掛けたり、外したりするための資格
機械集材装置運転 木材を運搬する集材機を操作するための資格
走行集材機械運転 林業機械(フォワーダ、スキッダ)を操作するための資格
簡易架線集材装置運転 林業機械(タワーヤーダ、スイングヤーダ)を操作するための資格
小型移動式クレーン運転 小型クレーンで荷をつり上げ、水平に運搬するための資格
不整地運搬車運転 路盤の悪い道で不整地運搬車により荷を運搬するための資格
はい作業従事者 木材等を積み上げたり、崩したりする作業を安全に進めるための資格
車両系建設機械運転 ブルドーザー、パワーショベル等の運転を操作するための資格
狩猟免許(わな猟) わな猟具を使用できる免許
鳥獣被害対策マイスター 鳥獣被害対策の指導者となるための資格

5.学校リスト

都道府県 高校名 大学校・専門学校 大学
北海道 旭川農業高校(森林科学科)
岩見沢農業高校(森林科学科)
帯広農業高校(森林科学科)
道立北の森づくり専門学院
札幌工科専門学校
北海道大学農学部
 森林科学科
青森県 五所川原農林高校 (森林科学科) - -
岩手県 盛岡農業高校(環境科学科)
久慈東高校(総合学科(環境緑化系列 森林生態科目群))
いわて林業アカデミー
釜石・大槌バークレイズ林業スクール
岩手大学農学部
 森林科学科
宮城県 小牛田農林高校
柴田農林高校(森林環境科)
柴田農林高校川崎校
- -
秋田県 鷹巣農林高校(森林環境科・緑地環境科(森林環境コース))
大曲農業高校(農業科学科(環境緑地系))
秋田北鷹高校(緑地環境科(森林環境コース))
秋田県林業研究研修センター
 秋田県林業トップランナー養成研修
(愛称:秋田林業大学校
秋田県立大学生物資源科学部
 生物環境科学科
山形県 村山産業高校(農業環境科)
置賜農業高校(食料環境科)
山形県立農林大学 山形大学農学部
 食料生命環境学科
福島県 会津農林高校(森林環境科) - 福島大学農学群食農学類
 生産環境学コース
茨城県 大子清流高校(農林科学科) 鯉淵学園農業栄養専門学校 筑波大学生命環境学群
 生物資源学類
栃木県 鹿沼南高校(環境緑地科(林業コース)) - 宇都宮大学農学部
 森林科学科
群馬県 利根実業高校(グリーンライフ科(森林科学コース))
勢多農林高校(グリーンライフ科(グリーンライフコース))
群馬県立農林大学校 -
埼玉県 秩父農工科学高校(森林科学科) - -
千葉県 君津青葉高校(総合学科(環境系列)) - -
東京都 青梅総合高校(総合学科(生命・環境系列))
大島高校(農林科)
東京環境工科専門学校 東京大学農学部
 応用生命科学課程 森林生物科学専修
 環境資源科学課程 森林環境資源科学専修
 環境資源科学課程 木質構造科学専修
東京農工大学農学部
 地域生態システム学科
 環境資源科学科
東京農業大学地域環境科学部
 森林総合科学科
神奈川県 吉田島高校(環境緑地科) - 日本大学生物資源科学部
 森林資源科学科
新潟県 加茂農林高校(環境緑地科(緑地工学コース))
高田農業高校(生物資源科(森林資源コース))
村上桜ヶ丘高校(総合学科(農業森林系列))
日本自然環境専門学校 新潟大学農学部
 生産環境科学科
富山県 TOGA森の大学校 -
石川県 - -
福井県 福井農林高校(環境工学科(環境緑化コース)) ふくい林業カレッジ -
山梨県 農林高校(森林科学科) - -
長野県 上伊那農業高校(緑地創造科)
木曽青峰高校(森林環境科)
下高井農林高校(グリーンデザイン科)
長野県林業大学校 信州大学農学部
 農学生命科学科
岐阜県 岐阜農林高校(森林科学科)
郡上高校(森林科学科)
加茂農林高校(森林科学科)
恵那農業高校(環境科学科)
飛騨高山高校(環境科学科)
岐阜県立森林文化アカデミー 岐阜大学応用生物科学部
 生産環境科学課程
静岡県 天竜高校(農業科(森林科)) 静岡県立農林大学校 静岡大学農学部
 生物資源科学科
愛知県 安城農林高校(森林環境科)
田口高校(林業科)
猿投農林高校(林産工芸科)
- 名古屋大学農学部
 生物環境科学科
三重県 久居農林高校(環境情報科(環境保全コース)) - 三重大学生物資源学部
 資源循環学科
滋賀県 甲南高校(総合学科(生物と環境系列)) - -
京都府 北桑田高校(森林リサーチ科) 京都府立林業大学校 京都大学農学部
 森林科学科
京都府立大学生命環境学部
 森林科学科
大阪府 大阪動植物海洋専門学校 -
兵庫県 山崎高校(森林環境科学科) 兵庫県立森林大学校 -
奈良県 吉野高校(森林科学科) - -
和歌山県 熊野高校(総合学科(グリーンマスター系列)) 和歌山県農林大学校 -
鳥取県 智頭農林高校(森林科学科)
倉吉農業高校(環境科)
にちなん中国山地林業アカデミー 鳥取大学農学部
 生命環境農学科
公立鳥取環境大学環境学部
 環境学科
島根県 松江農林高校(総合学科(地域クリエイト系列))
出雲農林高校(環境科学科)
島根県立農林大学校 島根大学生物資源科学部
 農林生産学科
岡山県 勝間田高校(総合学科(森林系列))
新見高校(生物生産科)
高梁城南高校(環境科学科)
- 岡山大学農学部
 総合農業科学科
広島県 - -
山口県 山口農業高校(環境科学科(森林資源コース)) - -
徳島県 那賀高校(森林クリエイト科)
池田高校(三好校)(環境資源科)
城西高校(植物活用科)
とくしま林業アカデミー -
香川県 - -
愛媛県 上浮穴高校(森林環境科)
伊予農業高校(特用林産科)
- 愛媛大学農学部
 生物環境学科
高知県 高知農業高校(森林総合科)
幡多農業高校(グリーン環境科)
高知県立林業大学校 高知大学農林海洋科学部
 農林資源環境科学科
福岡県 - 九州大学農学部
 生物資源環境学科
佐賀県 伊万里農林高校(森林工学科)
伊万里実業高校(森林環境科)
- -
長崎県 諫早農業高校(環境創造科) - -
熊本県 阿蘇中央高校(グリーン環境科)
矢部高校(林業科学科)
八代農業泉分校(グリーンライフ科)
芦北高校(林業科)
南稜高校(総合農業科)
くまもと林業大学校 -
大分県 日田林工高校(林業科) おおいた林業アカデミー -
宮崎県 日南振徳高校(地域農業科)
門川高校(総合学科)
みやざき林業大学校 宮崎大学農学部
 森林緑地環境科学科
鹿児島県 伊佐農林高校(農林技術科)
鹿屋農業高校(緑地工学科)
- 鹿児島大学農学部
 農林環境科学科
沖縄県 北部農林高校(林業緑地科)
中部農林高校
南部農林高校
八重山農林高校(グリーンライフ科)
- 琉球大学農学部
 亜熱帯地域農学科
 亜熱帯農林環境科学科

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